第2話:会社に到着

 会社に到着すると、童貞税の話題で社内が賑わっていた。俺の所属する営業部もあちらこちらから童貞、童貞と聞こえてくる。


「岩田!ニュースみたか?」


 さっそく同僚の中田が話しかけてきた。こいつは、いわゆる陽キャという奴で童貞とは無縁だ。うらやましい。


「ああ見たよってか声がでかいんだよ」

「すまんすまん、ところで...お前童貞だろ?」

「ど、ど、ど童貞ちゃうわ!」

「絶対童貞じゃねーか(笑)」


 なんで陽キャはすぐにわかるんだ?俺が出会った陽キャは全員俺が童貞であると見抜くんだが、もはや陽キャに童貞or非童貞を選別させた方が安上がりになるのでは?


「で、お前どうすんの?」

「どうするって?」

「いや、こんな税金とられるなら童貞捨てるでしょ、俺と一緒に風俗でも行こうぜ!」

「だから、声がでけーんだよ!」


 イラつきながらも考える。確かに、童貞を捨てるだけであんなふざけた税金が回避できるなら...。


「風俗...行くか」

「お!いいじゃん!」


 風俗か、本当なら普通に彼女を作って自然な流れてそういった行為をしたかったが背に腹は代えられない。趣味にも生活にもお金がかかる。無駄金を浪費したくはない。


 と、そこまで考えたところで一番重要なことを確認するとこを忘れていた。税金だ。一体どこにどれだけかかってくるんだ?


「中田、どころで童貞税ってどこに何パーくらいかかってくるんだ?」

「え、あ、確か収入に対して20%だったな」

「たけーよ!」


 ていうか、税で引かれるなら会社の労務部に俺が童貞だとバレるわけか。一瞬で社内に童貞だと広まるよな。嘘だろ。


 俺と中田が下ネタワールド全開な会話をしているせいか、聞こえてはいないと思うが受付の田村さんの目が怖いように思う。


「岩田、今日行くよな、二つの意味で(笑)」

「やかましいわ!今日はいかねーよ。どうせやるなら下調べしてからだ」

「んだよ。でも分かった。決まったら言ってくれよな」

「おう」


 会話が終わりお互い業務に戻った。今日は家に帰り次第、近場の風俗の下調べだ。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る