第6話   陶器の工場と瓶の工場

 父が手掛けている高級食器の工場に連れてきてもらった。


 工場長と名刺の交換をした。


 名刺は、以前使っていた、伯爵家の名前が書かれている物だ。


 侯爵家の物も準備はしたが、使う前に、捨てることになりそうだ。


 まだ侯爵家の人間だが、父が伯爵家の名刺を使いなさいと言ってくださったので、遠慮なく使わせてもらう。


 工場長はわたくしを見て、「大きく成長なさった」と微笑んだ。


 何度も父に着いてきたことがあるのが幸いした。



「今回は化粧品を入れる瓶状の物とクリーム状の物、そのサンプル品の容器をお願いしたい」



 少し遅れて、陶器デザイナーが来て、わたくしが描いた曖昧な絵を見ながら、デザイナーが美しい絵を描いていく。


 さすがプロが描く絵は素晴らしく、わたくしは感動した。


 一つずつのサンプルの容器の方が、高くなり、サンプル容器には飾りも何もつけないシンプルな物にしたが、どうしても割高になってしまう。


 それでも、人に知ってもらうには、ある程度いい物になることが証明されなくてはならない。容器の大きさを大きくした方が、手間が省けるようだ。


 それも二週間のお試し分の容器を決めて、後は、本品の容器をある程度高価に見える容器。


 デザイナーさんは普通の容器にポイントに絵を描いて、ラベルで高価に見せた方が素敵になると、実際に絵を描いてくださった。想像以上に美しく、上品に見えた。


 さすがプロだ。


 わたくしはプロの指示に従った。絵はスタンプにすれば、コストが抑えられ、サンプル容器にも使えると言われ、そうすることにした。


 お試し品を作ってもらい、そこから選ぶことにした。


 午後からは、瓶の工場に案内された。


 瓶は一つずつ手作りになるようで、美しいがコストがかかる。


 内容の金額より、外装の方が高価になりすぎて、悩むところだ。


 これなら、陶器で統一させた方が、統一感がある。


 お父様もそう感じたのか、話を聞いただけで、それ以上、話を進めなかった。


 帰りにもう一度、陶器の工場に寄り、オイルを入れる容器もサンプルでお願いすることにした。


 父は、この工場で高級白磁を作って売り出している。


 自社の工場の方が、融通が利く。


 美白を売りに出しているので、容器は白が良かろうとなった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る