ターン2 魔王ウィング

「単刀直入にお聞きします。貴方達は妖魔ですね?」

「妖魔ってなんですか……」

「魔王とその一派のことです」

「それはそうだが、私は祖国に逆らうつもりなどないよ」

「本当に?」

「当然じゃないか!!」


 それから、何か連絡が入り、慌ただしく話がされた。


「貴方のご主人様は地球侵略基地を築いていたようですが」

「他の魔王が月基地を築いていたのは知っているが、私は誓って無関係だ!」

「それにしても、魔王は何体いるのですか?」

「私の知っている限りだと、6人のはずだ」

「6人。根拠は?」

「私を魔王にした方がそう言っておられたからね。任命するだけして、消えてしまったが」

「なるほど……?」


 そして、政府の男は居住まいを正した。


「魔王ウィング。貴方に祖国から依頼があります。月基地の魔王がエイリアンと交戦状態に入りました。エイリアンは地球にも侵略をするご予定のようです。月基地に組し、これを退けていただきたい。報酬であり義務は、貴方の祖国への所属です」

「え、エイリアン!? しかし、私は単なるセールスマンだ。何か力になれるとは……」

「ならば地球侵略されますか?」

「それは駄目だ。とにかく、何が出来るか考えてみよう」

「僕も力になるよ、父さん!」

「テッド、たたかう!!」

「お前達は謹慎してなさい、息子達よ」


 まずは手札の確認だ。

 魔法書を調整して、魔石と合言葉があれば誰でもヒーリングが使えるようにする。 エアブレイドは権限も必要とした。そして、宙行蟲を国へと売り払う。


 妖魔というのは一般から隠されていたが、今回、和国と対立してまで妖魔の存在を公表する事にしたらしい。

 ダンジョンを設置した領地も設置して、そこで宙行蟲の面倒を見ることになった。

 ここまで来たら、ショップに自社の商品を大量に追加して、自国通貨も使えるようにした。


 最大級の通販店に勝てる! 勝てるぞ!! フハハハハハハハハ!!


 もちろん、戦争を防ぐべく、魔王キエタも頑張っているらしい。


 私もダンジョンで戦闘訓練をしたのだが、正直鎧袖一触だった。

 私が闘うのが一番強いらしい。魔王キエタもそれなりに強いらしく、魔王だけの強さでいうなら輝星組に軍配が上がるのではと。


 まあ、それでもその分領地を強化されているのは明らかなので、甘く見る気はないのだが。

 

 ひとまず、エイリアン対策だけでも味方になってくれればいいのに。


 一つ心配なのが、和国の進化である。


 魔王キエタによると、魔力に触れた際の影響、汚染というべきか、進化というべきかはさておき、それは凄まじいものがあるらしい。

 領地の一つが魔力を凄まじい勢いでばら撒いているのだ。

 すぐに近隣で影響が出始めるだろうとのことだ。


 魔力を拒絶するか。受け入れるか。


 地球は、人類は、大きな帰路に立っているのだろう。


 なんにせよ、魔王ウィングに出来ることは一つだけ。商売を頑張る。それだけだ。



 

 

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