ターン1 魔王ラベラトス

初っ端から月基地で浮遊大陸かよ。

マジかよ現代の魔王たちアグレッシブだな。


普通、こんなファンタジー案件、躊躇しないだろうか?

妖魔とか実際に跋扈している世界だと、違うんだろうか……!!


「あー! 俺の馬鹿!!」


 弟がまさに異能者組織で妖魔相手に戦ってるんじゃねーか!

 前だったら何もできなかったけど、今の俺なら護衛を用意してやれる。


 俺は早速弟の所へと向かった。


 会ってすぐにわかった。


 魔王ですわ。


【速報】弟が即位。魔王に即位!!


 俺は、はぁ、とため息をついてしゃがみ込んだ。

 良かったのかな。悪かったのかな。良かったと思おう。


「お前も魔王かよ。なら助けは必要なさそうだな」


 なにせ、超チートだからな。ピンチになる方が難しいだろ。


「まさか、兄さんも?」

「あー。まあな」

「ならっ……! なら、宇宙船か宙行蟲は当たった?」


 焦ったように弟は俺に縋った。


「ああ、それならあるけど。どうして?」

「友達が、他の魔王に怪我をさせられたんだ。どこの誰か知らないけど、許せるものではない」


 なるほど。


【速報】現代の魔王は人類を敵に回すつもり満々。やる気MAX。


「あー。魔王のヤンチャっぷり凄いもんなぁ。でも、月基地や浮遊大陸まで1人で殴り込みに行くつもりか?」

「そうだよ」


 マジかよ、現代の若者血の気多すぎだろ。


「多勢に無勢だ」

「でも!」

「お前も魔王なら、魔王らしく戦えよ」

「魔王、らしく?」


 そうそう。魔王で無双もできたけどね? そういえば、今はゲームじゃないから、俺ら死ぬんだろうか。寿命は撤廃されてるだろうが。死ぬとしても死なないとしても不安だ。まさか試すわけにもいかないし。


「そうだな。ガチャは何が当たった?」

「手札は簡単には明かせない」

「宙行蟲と情報で交換」

「っ わかった」






 うーん。だいぶ特殊な能力をもらったんだな。まあいい。

 課金は全てに上回る。ショップコイン長者の我が弟こそ最強。


「まず、領地を創っちまえ。マジックシールドとプロテクトで守って、ダンジョンを設置。お前も軍団を育てるんだ。そうだな。とりあえず、魔族、雫族、蟲族、武族、体族の五族の軍団を買え。ショップアイテムもな。後はダンジョンで勝手に鍛えたりアイテムを拾ったりしてきてくれる。魔王ってのは戦いゲーじゃない。領地運営ゲーだ」

「それでなんになるっていうんだ」

「宇宙開発させるんだよ。大体、魔族と雫族をセットにして、たっぷりとした資源を用意しつつ魔力を垂れ流しにしておけばお前の好きな方向に文明を発達させてくれる」

「悠長な……」

「悠久の時を生きるんだから、当然だろ。騙されたと思ってやってみろ。どうせ方法わからなかったんだろ」

「でも、今、友達が襲われてるんだ」

「シャドウデーモンでもつけとけ。俺もそうするつもりだったし。何をするにもレベルを上げないとどうにもならんぞ。あと、回復アイテムは用意しておけ?」


 さらに、弟に時回しのアイテムを渡しておく。

 可愛い弟への兄からのほんのプレゼントである。

 決して可愛い弟のことを忘れていたわけではない。

 本当だってば。





 ごめんなさい。






 だって、妖魔なんて本当にいるって実感できなかったもの。

 でも命かけてんだよな、我が弟も友人も。


 俺もシールド掛けて領地解放しようかな?

 たくさん領地があるほど、一つが被る圧力は減るだろう。


 駄目そうだったら再封印して良さそうなところに再設置すればいい。


 ただ一つ、問題があるとしたら。



 俺の領地、ゲーム時代基準だから小さいし、人数も少ないんだよな。

 ゲームの中じゃかなりの大領地だったけれど、それでも総人口が1000人いかない感じ。

 

 まあいっか、可愛い弟のためだ。

 教官役として、何人か向かわせるか。


 魔法書も強化してから弟にコピーさせてあげよう。

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