ターン0 魔王ライトシャドウ

ーー我が名はジャーシン。古の魔王の1人が目覚めた祝いとして、新しき魔王を5人選ぶ事とした。汝は選ばれた。ついては、「魔王様スタートセット」と「魔王様応援セット」「魔王様のガチャチケット」を配布する。


「えっ 俺が選ばれたって!?」


 ゲームをしていた時、天啓のようにその声は響いた。


ーーそうだ。魔王様応援セットは汝の希望を反映してやろう。汝は何を望む?


「モテたい!」


ーー正直でよろしい。ならば12種族の美女を配下としてやろう。オマケでマイハウスを屋敷にしてやる。


「ハーレム!? ハーレムきたこれ!」


ーーでは、魔王としての名を名乗れ。


「……ライトシャドウ! 光と闇が合わさって最強に見えるし!」

 

ーーライトシャドウだな。楽しい魔王ライフを送るが良い。魔王ライトシャドウ。我が名はジャーシン、魔王を導きし者……


 そして声と気配は行ってしまった。

 あれ、気のせいかな?

 なんにせよ、今日は楽しい夢が見られそうだ。

 



 目が覚めると、和風の屋敷の布団に眠る俺を、美女が取り囲んでいた。

 1、2、3……12人、プラス俺そっくりの女の妖精が一匹。


「ようやく起きたな。さっさと私達に名付けてくれ、魔王ライトシャドウ様? いや、旦那様とお呼びした方が良いかな」

「え、と」

「待って。ちゃんと自己紹介しましょう。初めまして、魔王ライトシャドウ様。私は幼族です」

 そして、ふりふりドレスの魔法少女に変身する。

 次に声を挙げた長身の美女の方が盛り上がり、翼が生える。

「獣族だ、旦那様」

 次がピンクのヒーロースーツ。

「勇族よ」

 ピンクのロボット。

「機族デス」

 カマキリっぽい女の子。

「蟲族でござる」

 弓にかわる幼女。

「武族だよー」

 魔物っぽいのを従えた子。

「鏡族」

 透明な液体を浮かせた女の子。

「雫族」

 健康的な肉体美の子。

「体族」

 ローブ姿の子達。

「魔族。魔法が得意」

「呪符を扱う符族と言います。

 ピンクの忍服。

「忍族」

「ええと、僕は織野 羊太」

「よろしく、

 フェイ(妖精)、

 ヨーコ(幼族)、

 フリル(獣族)、

 ピンク(勇族)、

 キリー(蟲族)、

 メカ子(機族)、

 ユミコ(武族)、

 カガミ(鏡族)、

 シズク(雫族)、

 パワ子(体族)、

 まほこ(魔族)、

 フーコ(符族)、

 しのぶ(忍族)」

「……ま、良いよ。覚えやすさ第一だしね。妻の名前間違えるのも問題だし」


 代表してフェイがいう。

 なんてこった。いきなり13人も妻ができてしまった。

 モテたいとは思ってたけど、これは戸惑う。

 ぐぅぅ、とお腹が鳴って、朝食になった。


 14人もテーブルに並ぶと、食卓も姦しい。


「で、もうわかったと思うけど、君はもう魔王様だ」

「うん」

「魔王とは第二の酸素。第二の太陽。第二の大地。僕達は君がいないと比喩でなく死んでしまう。正しくは、君のばら撒く魔力だけどね」

「学校で習った! 植物が酸素を吐き出して、それを人が吸うんだっけ?」

「そう! すごいじゃん」

「ラノベやゲームで勉強してるからね! 俺が魔王になるってことは、人類の敵になるの?」

「思い切りいいね……。まあ、究極的にはそうなんだけどさ。これからの世の中の、新たなる生態系ってやつ?」

「格好いい!」

「じゃあ、早速鏡を見て、服を脱ぐイメージをして。いや、本当に脱がなくても良いから」


 羽の生えた耳長の男の子が見える。

 うげ、俺ちっちゃい。


「これが君の真の姿だ。この姿だと魔法が容易に扱える。レベルが上がると、どんどん禍々しくなっていくよ。魔力は感じ取れるよね? この魔力は私達の生命維持や、領地の維持、ダンジョンコアの稼働に使う。魔力を垂れ流しにしていると周囲のものが魔力に適応して進化するんだ、気をつけて。ここなら大丈夫だけどね」

「進化した方がいいじゃん」

「……まあ、それも君の選択か。システムウィンドウって思い浮かべて」


 俺の頭の中に、四角いウィンドウが現れる。


『ショップ

 アバター

 スキル

 アイテムボックス

 マイハウス

 領地

 配下

 魔石の生成』


「アイテムボックスを選択して。スタートセットとガチャカードがあるはず」


『魔王様スタートセット

 全種族ウェディングショップアイテムセット

 魔王様ガチャカード』


「眷属カード、配下カード、領地カード、魔法カード、ダンジョンコアカード、魔法書カード、アバターカード、ショップ・ガチャ用アイテムセット、ジャーシン様のショップコインカード、ウェディングショップアイテムセット、魔物限定現代の魔王ガチャSSR確定チケット。SSR確定古の魔王ガチャ、古の魔王ガチャ、SSR確定現代の魔王ガチャ、現代の魔王ガチャ、魔王ショップガチャ」


 上げていくと、フェアリーが頷いた。

 

「流石ジャーシン様。まず、ショップを選択して、店の名前を設定するといい。ショップアイテムセットも全部移して。これが私達の普段使うお店になる。お給料の配付もよろしくね。君が通貨を発行するんだ。少ないのも困るけど、発行しすぎたらアイテムがなくなるから気をつけて」

「スーパーチートショップ、と。うん? 他の通貨も使えるようにしますか? イエスっと」

「あっ勝手に! その場合、使用可能額の限度を決めておいて。買い占められたら困る」

「オーケー!」

「魔石の生成ボタンを開いて、ジャーシン様に献上、魔王ショップ、貯蓄で1:1:8で設定するように。ショップで魔石が買えることは大事だよ。なにせ、命の源だからね。ジャーシン様に魔力を献上することで、ジャーシン様のお店の通貨も貰えるよ。領地があったらそこにも魔石をばら撒くんだけど、今はマイハウス。君の腹の中だから、心配しなくていいかな。ショップコインカードは全て使ってしまうといい」

「わかった。でもジャーシン様には感謝を込めて魔石は2だ!」

「いい心がけだね。次に魔法書カードを使って設定を行う。これは君のテリトリーで許可され、魔力を持った人間が魔法を使えるようになる書だ。魔法書にこの国の言葉である和語、魔王語、あと契約時の君の知識がダウンロードされている。これは翻訳魔法や君が新たな命を生み出す際に使われる。書物やデータや君自身が知識を増やすことでもアップデートしていける。魔法カードを使うことで、ここに魔法を登録できる」

「魔法は……選択できるんだ。自分でも設定できるし、俺の妄想力が唸るぜ!」

「なんか不安だなぁ……使うときは相談してね? 眷属カード、配下カード、アバターカードは他人に力を与える、生み出す、自身に使うという違いがある。既存の種族から選べるが、自分で設定もできる。ただし、魔法カードの比ではない難しさだよ」

「俺なら使いこなしてみせる!」

「領地カードは領地を設定できる。ダンジョンコアは魔物と資源溢れる迷宮を設定できる」

「ダンジョンと領地ね。早速設置場所を探さないと!」

「大丈夫かな……。次にガチャを使ってしまおうか」

「イエー!」


 ガチャの結果はこちら。


 魔物「ドラゴン」

 戦慄! 暗黒の魔王城セット:領地

 ドラゴン卵セット


 ポーション 5

 アバターカード 体族

 眷属カード 雫族

 眷属カード 雫族

 眷属カード 幼族 

 魔物詰め合わせセット:領地 

 惑わしミスト:領地

 魔法カード「マジカルストーム」

 ジャーシン様のショップコイン 7

 宝石セット


「おおー! ジャーシン様は言っている! 俺に領地経営をせよと!! ショップコインも当たったし、色々買えるな!」

「や、やる気だぁ」

「主人様がそうするならば、妻としては支えるのみでござる」

「早速領地の場所を探そう! お! アバターカードって変装にも使えるじゃん! じゃあ、行き先は決まったな!」

「どこ?」

「ーー図書館さ。彼処を襲撃して魔法書をアップデートする」


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