第2話 死ぬ程痛かった件。


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-----(心太郎視点)-----

・・・あー、クソッタレ。この体制じゃあマトモに受け身すら取れねぇなコレ。お狐さんは……まぁ、生きてるか。多分。なんか目ん玉ひん剥いて『何故コイツは私を庇う?』っていう感じの驚愕と疑問を顔中に散りばめたまんま固まってるし。つか口空いてるし。


んー、損害賠償どれぐらいになるんだろう………バンパーはまぁ、確実に交換だろうな。フロントガラスも交換だろうし、エンジン周りは………んー、多分そのまま使えそうではあるか。そこまでスピードが出ていた訳でも無いし。まぁ幾らかはイカれそうではあるか。…………多分。下手したら億越えしそうだ。あ、運転手さんも吃驚仰天って顔だ。申し訳ねぇ。こっち側の我儘に付き合わせて。しかも理由が理由だし。

あーもう。めんどくさい。


・・・・・・おー、何か来た。ふむ、これが生死の境目に出てくるという『走馬灯』って奴か。おぉ、こんな事もあったなぁ。あー、あれあの時そこにあったっけなぁ。・・・アレ?こんな事あったっけ。…あぁ、これこういう事か。そういえばそうだったなぁ。あ、モンド(雑種)にサンダ(パピヨン)。懐かし。今アイツらあの世で何やってんのかなぁ……………………

あー、ちきしょうめ。まだやりたい事も、行きたい所も、やらなきゃいけない事も全っっっ然出来てねぇのになぁ。どうしよう。

…………ハァ。世の中クソだな。


-----(三人称視点)-----


ドンッ!!


という音と共に、心太郎は飛んだ。

いや、正確には『跳ね飛ばされた』と言った方が正しい。幾らスピードを落としているとはいえ相手は鉄の塊。しかも『スピードを如何に速く、そして効率良く出すか』を重きに置いた車は最早、『スピードを出しやすい鈍器』以上の何物でもない。


…そうして、心太郎は自分の頭脳が与えたもうた束の間の『覚悟の瞬間』に浸りながら後頭部と背中全体、特に脊髄に鈍痛を感じた。


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