鳩達は真っ直ぐに飛び立つ
「いよいよだな、ポポ太郎」
本日は見事な快晴。ここは北海道、
離れた所からトラックを見つめ、僕は訓練の日々を思い出す。ポポ太郎は、公園や街で見かけるあの鳩と同じカワラバトという奴だ。でも
パッと見は、野生の鳩と見た目が変わらないポポ太郎。あの妙な鳩おじさんから千円で譲り受けた鳩だけど、協会に認められたあの
「最終確認が終わったな、遂に始まるぞ!」
後ろにいるおじさんの声で、僕も気が引き締まった。基本的に鳩レースは賞金が無い。でもこの過酷なレースで
「だけど……僕が、欲しいのは——」
「はい、どうぞーッ!
スタッフがトラックに乗せられた大きな
「マジか……」
力強いたくさんの羽音に空気が乱れて、息ができない。この二年間、短距離の鳩レースには数回参加したけど、この規模は初めて見る。何万羽もいるこの鳩達は、自身の
「ポポ太郎……お前なら、出来るだろ?」
僕は飛んでいく鳩達を見つめながら、鳩の軍勢が見えなくなるまで、どこかにいるポポ太郎を見送った。僕がこのレースで欲しいのは——目的を成し遂げる強さとか、自信って奴なんだ。何も出来ない僕に見せてくれよ、届けてみせろよ、ポポ太郎——。
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