第7話 おじじ

わしは〇〇神社の者である。下っ端じゃ。

あの子(ヨウコ)からはおじじと呼ばれておる。


10月に、あの子たちの酒呑童子成敗を手伝うよう言われて、いやあ、えらい目に遭ったわい。


わしは隠れるのが上手いのでな、おかげであの子たちが鬼と戦う間、あの子の仲間と京都見物やおしゃべりをしておった。

わしは探すことも得意なんじゃ。戦うのは免れたが、鬼どもの後始末で首を探してきて胴体につけるという仕事を回されて一人でせねばならんかった。気色の悪いことこの上なかったわい。

まあ、夜は労いでうまい酒をいただけたがの。

酒は好きじゃが、ちょっと飲むとすーぐに眠くなってしまう。横になっておると、この家の者が気づかず、踏まれるのが玉に瑕じゃ。


そうそう、この日は意外な収穫があってな。

ちょっと前に、いつものように社に向かって歩いておったら、思いがけない所に縄が落ちておって、それに引っかかってしたたかに転んだのよ。痛かったのなんの。なんでこんな所に縄が落ちとるんだろう、危ないのおと思っただけであったが、あれは狐の仕業だったとわかったのじゃ。わしが気付いとらんと狐どもは大喜びで自慢しておったらしい。これは懲らしめてやらんと!

地蔵吊りじゃ! 

くず姫さんがケサランパサランの毛が手に入ったと言っておったな。それで編んだ縄を持ってきてくれるそうじゃから、ちょうど良いわ。


そうよ、11月に来てくれたのお。寒くなる前で良かった。良い所であろう?蕎麦は美味かったかな?

あの時は、どうしても祝詞を聞かせたくての、あの子たちはのんびり食事をしようとしておったが、それでは祈祷に間に合わぬ。しかたがないので、みつばさんをちょっと先に奥の院に行かせたのよ。

皆、神隠しかと慌てておったのお。一番慌てていたのは式神のしいだったかの。えらい怒って、あの竜に噛み付いておったな。あの気難しい竜もたじたじじゃった。しかし、おかげで祝詞が聞けて良かったろう? 奥の院での祈祷はなかなか聞くことはできないからの。


今はちょっと忙しいから、社を離れることはできぬが、またそのうちにな。うまい酒を頼むぞ。

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