第21話
「なに……あれ」
爆発が起きた場所。
そこに居たのは一人の怪物。
かろうじて人の形を保っている。
そんな怪物。
「ふはぁ……」
真っ赤な息が口のない怪物より漏れ出す。
赤い、マグマのように滾っている赤黒い肌に、頭からは赤黒く禍々しく鼓動している角が生え、その表情にはただただ黄色く光っている目らしきものがある。
服は全て肌と一体となり、鱗のようなものに肌は覆われている。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」
不快な振動が起こり、それが音となって僕たちの鼓膜を揺らす。
「あ、あれは、一体……?」
「……ッ!?マキナ!?」
かつて、レミアを虐めていたアルホンスの取り巻きの連中が僕の姿に気づき、慌てた様子で近づいてくる。
「何?何かあったの?」
「こ、こんなはずじゃなかったんだ!?アルホンスがッ!アルホンスが怪しげな存在の手によっ……ッ」
僕に向かって言葉を話し続けていた取り巻きの一人の言葉が途中で遮られる。
「かはッ」
そいつのお腹に巨大な穴が空いたからだ。
「……へぇ」
そいつのお腹に生えていた腕が抜け、その体がゆっくりと倒れる。
そうなることで見えてきた一人の怪物の姿。
「平民んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんッ!!!」
怪物へと成り果てた男は大きな声を上げ、僕とレミアのことを睨みつけてきた。
そこにあるのは深い、深い、憎悪と悪意だ。
「ひぃ」
レイアは小さな悲鳴を上げて、一歩後ずさる。
「お前の相手はこっちだ」
僕はそんなレイアを横目に怪物の方へと一歩踏み出したその時。
「……ッ!?」
突如として僕の足元が黒く……底なしの穴へと変貌し、そこへと落ちていく。
「よいしょ」
僕は穴へと落下している中、冷静さを一切欠くこと無く無詠唱で大魔法を発動させる。
発動した魔法。それは距離という概念を一時的に超越して進む魔法。
点と点で移動する転移魔法とは違う、線で進んでいく障害物のない直線的にしか進めない転移魔法とは似て異なる魔法。
「……む」
僕が発動した空間超越魔法は誰かの干渉を受け、移動先を強引に変えられる。
「お前の魔法発動プロセスは画期的で、素晴らしいものではあるが、途中で魔法に介入しやすいなぁ……おい」
「……」
僕は口を紡ぎ、目の前の男を眺める。
「だんまりか?えぇ?最強」
そこにいたのは暗い憎悪と悪意に染まった瞳を僕に向けてくる黒ずくめの男だった。
黒い仮面の奥より見える赤い瞳が不気味に揺れていた。
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