第9話

 アルミーレ王国の皇太子殺害。

 

 その一報は一瞬で世界中を駆け巡った。

 それも当然の話だろう。

 大陸に置いて絶対的な覇権を築いている王国のトップが殺されたのだ。

 アルミーレ王国とは、大陸の中央で敵に左右を挟まれてもなおその両輪を食い破って急成長した超軍事大国なのだ。

 

 地球で言えば第一次世界大戦に勝利して、超大国となったドイツ帝国が戦後に外交の分野で無双し、世界平和を作り上げたような国家なのだ。

 

 軍事大国の超大国の次期王である皇太子も当然歴戦の強者であり、その護衛も然り。

 

 アルミーレ王国の皇太子を殺せる勢力など……ほとんど無きに等しく、皇太子を殺した勢力を見つけるべくアルミーレ王国が動き、再び世界を戦禍の業火が包む可能性するある話なのだ。

 

 犯人が一体何者なのか。見つけることができるのか。

 世界が注目している中、アルミーレ王国は皇太子を殺した勢力が魔族であるという声明を出した。

 

 そして、今。

 

 アルミーレ王国の多くの村々が壊滅している今の現状を作ったのは魔族であるとも宣言したのだった。

 

 その情報はアルミーレ王国を震え上がらせた。

 アルミーレ王国の多くの村が壊滅しているなど……王国民たちにとって初耳なのだ。

 

 世界はようやく動き始める。

 

 魔族は姿を表し、悪意は動き、狂気は嗤う。

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