第10話

「ひどいことになっているなぁ……」

 

 僕は三時のティータイムを楽しみながら大混乱となっている王都を学園の塔の上から眺める。


「なんでそないにも悠長なん?」

 

「いや、別に僕には関係ないし。困るのは貴族と商人だからね」

 

 アルミーレ王国が出した声明。

 現状、アルミーレ王国の多くの村が壊滅しているというその話は王国市民を大きく震え上がらせた。

 

 当然だ。

 自分たちの食料はアルミーレ王国の多くの村から賄われているのだ。それらが壊滅している……ともなれば自分たちの今後の食料はどうなるのかなど。

 色々な不安が膨れ上がることだろう。

 

「平民様はごっつ悠長なようで羨ましいな……うちのとこの商会は大忙しや言うのに……それに、平民って言うても食料品が買われへんくなったら困るやん?そやさかいこそ、今民衆が慌てて王族に対して詳しい説明を求める暴動を起こしてるんやさかい」


「そんなの僕には関係ないよ……食料品ならうちの村から普通に用意出来るしね」

 

 僕の村の農業効率は世界一だろう。なんて言ったて未来技術を持った僕が改良させたのだから。

 村の倉庫には余った大量の食料品が貯蓄されている。

 国全体に行き渡らせるには足りないが、僕とアレナとアリエスを食わせるには十分すぎる量がある。

 村のみんなに頼めば倉庫の食料をくれるだろう。

 

「え?なにそれ。ちょい詳しい話を聞かしてもらえへん?」


「断るよ。……君たちは今まで通りの商売をやっていれば良いんだよ。元々君たちの本拠地はこの国じゃないだろう?今、この国に関わろうとすればやけどじゃ済まない被害を受けるよ?……色々と動いている僕が断言してあげるよ。商機と思って、下手に関わらないことだね。そう忠告しておいて。現状は君が思っている以上に大変だから」


「……そないに現状が大変ならもっと真面目に動くべきてまうか?」


「どうせ、第二王女殿下がなんとかするよ」


「これ!美味しい!」


「ん?美味しい?それは良かった」

 

 僕は現状の対処を第二王女殿下へと丸投げし、平和な時間を享受するのだった。

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