第3話

「あ、あの……マキナくんは居ますか……?」


 お昼の時間となり、各々が自由に動いて楽しく昼食を食べている時間。

 そんな時間を過ごしている教室に一人の少年がやってくる。


「マキナ。名前、呼ばれてんで?」


「ん……あぁ」


 僕はアレナの言葉を聞き、扉の方に視線を向けたことでようやくその少年の姿を見つけることができた。


「あぁ……こっちに来ていいよ」

 

 僕はその少年にこっちに来るように手招きする。


「はい……」


 少年は素直に頷き、僕の方にやってくる。


「あの!今朝はありがとうございました!」

 

 僕の前にやってきた少年は深々と頭を下げる。


「その……助けてもらったとき、呆然としてたせいでお礼を言えなくてすみません……」


「あぁ、気にしなくていいよ」

 

 深々と謝罪している少年に対して笑顔を浮かべて告げた。


「ん?なんかしたん?君が他人からお礼を言われるようなこと?」


「……その言葉に違和感を覚えるけど、目をつむってあげるよ。今朝、この子がいじめられているのを助けてあげたんだよ」


「そないなことを君が!?」


「いや……そこで驚くなよ。僕のことをなんだと思っているんだ」

 

 僕はアレナにジト目を送ってから、少年の方に視線を戻した。


「それで?あれ以来いじめられてたりした?」


「いえ……されていません。マキナくんのおかげです。ありがとうございます」

 

 少年は再び僕に深々と頭を下げる。


「それなら良かったよ」


「そ、それでは……」

 

 少年は僕へと一礼して、この場から立ち去ろうとする。


「あっ。一緒にご飯食べる?」

 

 そんな少年の手に弁当箱が握られているのを見て、僕は口を開いた。


「はい!」

 

 少年は僕の言葉に輝かんばかりの笑顔を浮かべて頷いた。

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