第2話
「「「「……」」」」
この場に何とも言えない沈黙が降りる。
何が何だがわかっていない第二王女殿下。
第二王女殿下の威圧に敗北したアレナとテレシア。
もう全部面倒臭くなっちゃった僕。
「そ、そういうたら……ラーニャには好きな人やらいんねん……?」
沈黙を破るようにテレシアが口を開く。
……何故その話を第二王女殿下に振った……ッ!
「えぇ……居ますよ」
アレナの言葉に第二王女殿下は肯定の言葉を返す。そして、ちらりと第二王女殿下は僕の方に視線を送ってくる。
「え!?い、いんねん!?……そ、それってもしかして……?」
アレナが僕の方に視線を送ってくる。
「……」
僕は沈黙し、視線をそらす。
「ふぇ!?」
「ふふふ……」
第二王女殿下は意味深な笑みを浮かべている。
彼女のその手は……僕の方へとゆっくりと近づけてくる。
「また叩き潰すぞ」
僕は伸ばされていたその手を叩き落とし、第二王女殿下を睨みつける。
「ふふふ」
それに対して第二王女殿下は笑みを漏らし続ける。
その笑みは意味深なものから、冷たいものへと変わっていた。
「「……ッ!?!?」
僕の豹変具合と第二王女殿下の冷たい笑い声を前にアレナとテレシアの頭は完全にショートしてしまう。
「今、私が行動することはありませんよ」
「はぁ……それなら良いけど」
いずれ第二王女殿下が動くことは予想している。
『今』と言うその言葉は見逃してあげる。
僕と第二王女殿下の関係性は色々と複雑だ。
第二王女殿下ってば僕に信じられないくらい歪みまくった愛情を抱いているしね。
「え?」
「え?」
重々しい雰囲気を一瞬で霧散させた僕と第二王女殿下を前にアレナとテレシアは困惑し、首を傾げる。
「ふふふ。テレシアとはライバル同士ですね」
「えっ……あ、うん?」
テレシアは既に第二王女殿下の圧を前に敗北していた。
このまま第二王女殿下の圧に負けて僕のことを忘れてくれ。
第二王女殿下は利用出来るけど、テレシアは使い道がないんだから。
「ほら。さっさと席に戻れ。もうすぐHR始まるからな」
僕は自分の机の周りに集まっていた三人にそう話した。
「いや!例えどんな相手でも私は負けないよ!」
そこで奮起するなし。
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