第33話

 選民主義、貴族主義……平民はゴミだと思っているような貴族も多くいるようなクラスでいじめられることなく学校生活を送ることができるか。

 それが一番の心配事項であった。

 

 その心配事項は……ちょっとだけ僕の予想外の要因によって解決することになった。


「おはようございます。マキナ様」

 

「はい。おはようございます。第二王女殿下」


「第二王女殿下などという他人行儀な呼び方をなさらず、本名で気軽にお呼びください」


「いえ、不敬ですから」

 

 予想外の要因。

 それは今、僕に挨拶してきた第二王女殿下の存在である。

 

 この人が僕に率先して会話してきていることによって、僕に向けられる視線が変わっているのだ。

 僕に向けられている視線。

 それは畏怖の視線。


 第二王女殿下と会話することによって僕に畏怖の視線が向けられるようになるとは完全に予想外である。

 

 美しい見た目でなおかつ婚約者の居ない第二王女殿下に話しかけられるあの平民は何だ、不敬だ、邪魔だ……彼女を婚約者にと思っているような人たちから嫉妬のような視線を向けられると思っていた。

 

 なの、だが……第二王女殿下は信じれないレベルで周りから恐れられているのか、向けられる視線は嫉妬ではなく、あの人に話しかけられ、会話出来るあいつは一体どんな化け物なんだ?という畏怖の視線であった。

 

 普通に謎である。

 どれだけ第二王女殿下は周りから恐れられているんだ?

 確かに異常なまでに優秀で、普通ではないけど……そこまでなのか。 


「……いつか、必ず私のことを名前で呼ばせてみせます」


「いえいえ。不敬ですから」

 

 予想外のことではあったが……まぁ、なにはともあれ懸念事項は取り除かれたのだ。

 素直に喜ぶとしよう。


 ラタリタリタ……ラタリタリタ……

 

 チャイムが教室中にチャイムの音が鳴り響く。

 

「よーしHRを始めるぞぉー。全員席につけー。第二王女殿下もだからなー」

 

 ガイア先生がクラスに向けて声をかける。

 クラスメートたちはその言葉に従い、自分の席へと戻っていく。

 当然第二王女殿下も。


「よし。HRを始める。気をつけ、礼」

 

「「「よろしくおねがいします」」」

 

 今思えば、それだけ恐れられている第二王女殿下を相手に平然と声をかけられるガイア先生ってやっぱり凄いよな。

 

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