第2話
「……はぁー」
ひとしきり感情を爆発させた後、深々とため息を吐いてから僕は立ち上がる。
僕がゲームの世界の住人ならいざしらず。
リアルの世界の住人である僕は料理を作って食べて、学校行って、勉強して、夜はぐっすりと眠らなくてはいけない。
ずっとゲームを引きずっているわけにはいかない。
成績が下がりすぎると、両親にゲーム禁止令とか言う信じられないものを出されるので、勉強しざるを得ないのである。
中学のときに戦犯やらかして、結構高い偏差値の高校に受かってしまったせいで成績上位を保つのが大変なのである。
「んしょ」
僕は重い体を動かしてなんとか立ち上がる。
父親も母親も夜遅くまで働いていて、家に帰ってくることはないため、家事は僕がやらなくてはならない。
料理、洗濯、掃除、買い物。
家事の類は全て僕の仕事である。
「今日は何を作ろうかなぁー」
僕は冷蔵庫の中身を思い出しながら、キッチンへと向かった。
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「ふんふんふーん」
僕は気分良く鼻歌を歌いながら、お肉とピーマンと玉ねぎを炒める。
今日の献立は青椒肉絲である。
僕の分だけはなく、両親の分も作るため、結構大変なのだ。
金はあるくせに、両親がキッチン用品に出す金を渋るせいで大きなフライパンはないのだ。
……両親の分作らないでやろうか?ん?
僕は良いキッチン用品を買うお金を渋る両親への不満を募らせながら、気分良く夕食を作る。
……無理矢理にでもテンションを上げないとやっていられない。
「これで……のわッ!?」
料理が完成し、お皿に盛り付けようとしたその瞬間。
強力な震動が僕を襲う。
「地震ッ!?……あっ」
いきなり僕を襲った強力な地震……それは僕にとってこれ以上ないまでに致命的だった。
僕は手に持っていたフライパンを手元より滑らせ……落としてしまう。
「……やばっ!?」
落としたフライパン。
熱々に熱しられたフライパンは僕の頭を強く打ち付け……激痛と灼熱を僕にプレゼントしてくれる
「あっひゃ!?」
変な声を漏らし、体を激しくよじらせた僕……そんな僕の体は運の悪いことに無防備に置かれていた包丁に当たり……包丁を空高くに舞わせた。
「にゃッ!?」
クルクルと周り、銀色の鈍い光を放つ包丁が僕の視界の中で踊り、運命の悪魔が微笑む。
空を舞う包丁は僕の方に向かってきていた。
「あっ」
胸……心臓あたりがやけに熱かった。
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禁忌ノ哭ク頃に。
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