第14話 美琴のプライベート
2021年4月10日早朝。
数日前に大館市のイベントに誘われ、申し込んでいた。
美琴は、朝7時に自宅を出発すればいいと言っていたのでてっきり10時ころまで到着すればいいのかと思っていたが、一応早めに行った方がいいと言って6時30分には家をでた。
美琴の運転で大館市へ向かった。
朝食を買いにコンビニに寄り道をした。
ふと、「何時集合?」と聞いた。
「午前9時前には余裕でつくよ。」と返答してきた。
イベントスケジュールを尋ねると、午前9時半からミーティング。
遅くとも9時には到着して、会場に荷物を搬入する必要があった。
「ネットの地図で調べたら走行時間1時間30分と出ていたから、朝7時に出れば間に合うでしょ。」という。
は? 9時?
馬鹿なの?
7時にでて9時前に着くわけないでだろ…。
いやそもそも、1時間半でつくような場所ではないのだ。
美琴は長年県外にいたため、地元であっても距離間隔が全くない。
その上、万が一交通事故や災害。
迂回しなければならないことを想定していなかった。
いつも通り、当日までバタバタと行動する。
俺は助手席で焦っていたが運転している美琴も、目的地までの距離と残り時間を確認して焦りだしたらしい。
はてどうしたらいいものか・・・。
まずは、焦らず安全運転でいくしかない。
しばらくして、美琴の表情が変わった。妙にニコニコしている。
しまいには「あわてんぼうの、おばちゃーん」クリスマスの替え歌まで始まる始末。
「おじちゃ~ん、おばちゃんおくれちゃうね笑。」と言った。
美琴からみゆきちゃんに変わったようだ。
この数か月見てきたが、みゆきちゃんに変わっても美琴のもつ知識、能力はかわらないため、料理もできるし、運転もできる。
みゆきちゃんとたわいもない話をしていると、また表情が変わった。
今度は凛とした感じだ。
「二人とも、大変な状況になったからと言って、我らに運転を寄こしてきた。
最も我らもこの状況を楽しんではおるのだが。」という。
級長戸辺様に変わったようだ。
それから会場まで級長戸辺様と会話をし、無事に会場についたところで、美琴に変わった。
どうにか9時には会場入りできた。なんだかんだあったが、夕方四時に無事イベントは終わった。
イベントの間、会場から徒歩で大館八幡神社、幸田神社、愛宕神社、大日神社、普賢神社、大館神明社、他を参拝して回った。
この大館市でも、なんやかんやこの指とまれ作戦だろうか?
参道に落ちていた木の枝を寄せたり、散乱したガラス片を片づけたり、落ちていた鈴を拾ったり様々あった。
このイベントの参加者様から、ゴールデンウィークに鹿角市の道の駅大湯でもイベントがあると聞いた。
帰りの車内で、道の駅でのイベントの話をした。
そういえば、風の神級長戸辺命が1月に現れたとき、「4月に大きな波が来る」と言われていたのを思い出していた。
もしや、「4月に大きな波が来る」はこのことか!?
以上、是宮の日記より。
美琴のとんでもない無鉄砲というスケジュール管理はいつもハラハラさせられる。
そして本人はギリギリならないと、やる気になれない。
まぁ、普通に仕事をフルタイムでこなし、その合間で制作しているのは知っている。
これまでは本人が好きで参加するイベントだからと、放置してきた。
しかし、一緒に行動するにあたり
流石にまずいだろと思えるようになってくる。
これまでよくこなしてきたように思う程、最後にはキッチリ仕上げていた。
どう考えても制作ペースじゃ無理だろ思うことすらも、最後には帳尻を合わせる。
ある意味すごい、賭けに近い美琴の行動はとんでもないミラクルを起こす。
だから、なんとかなると思い込んでいるのだが、振り回される周りは大変だ。
医療現場という仕事柄、普段はキッチリこなす美琴だが、
プライベートになると、ポンコツになる。
コロナでイベント参加はしなくなったものの、一時期は北海道から首都圏まで遠征していた。
ある意味、どんだけパワフルなのかという話でもある。
人には得意不得意がある。
それなら得意な分野を担うことで、美琴の負担を軽くできないだろうかと考えるようになった、最初の出来事だったかもしれない。
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