第10話 俺が仕事を辞めるまで
俺が仕事を辞めるまで
2021年2月13日。
世界中でコロナ患者が増えてきてコロナ対策の為、お客様から仕事の延期やキャンセルが続いている。
会社からも、一人だけ経費を食いつぶしていると攻められていた。
そもそも世界的なコロナ禍であり、俺のせいではない。
何故俺が攻められる。
何度も説明したのだが、上部が理解しない。
そもそもこの状況でどうするか考えるのが、上層部だろう。
話にならない。
精神的に追い詰められているのか?
ここ数か月、ほとんど寝ていない。
病院で診察を受け、睡眠薬を処方してもらった。
美琴の方は相変わらず、霊障が起こっているらしい。
一体全体、世の中どうなってやがるんだ?
夜、福島沖を震源とする地震があった。
秋田もかなり揺れた。
以上、是宮の日記より。
2021年2月22日 退職を決意
午前
ブチ切れた!
上司から今後の仕事の予定を電話で聞かれた為、コロナ対策による仕事の延期及びキャンセル案件を全て話した。
先日も話したのだが、また同じような内容を話した。
上司からは、「まら来月も経費くいつぶすのか!!これじゃ、延期してる分も全部赤字だ!」と言われた。
何も返答せずに、上司が電話を切るのを待った。
冷静に、冷静に・・・。とにかく冷静に・・・と自分に言い聞かせて、黙々と仕事をしていた。
午後二時過ぎ、急用ができたと言って有休を取り、会社を出た!
引継ぎの資料ができ次第、30日以上ある有給休暇を取って退職することにした!
とりあえず、明日は休みだが自宅で引継ぎ用の資料を作ることにして、気分転換に以前から気になっていたN市にある神明社へと向かってみた。
なぜ気になっていたかというと、修験道に縁のある神社で、天照様に級長戸辺様、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)が祭られているらしい。
まるで、女神様が三柱祭られいるから行ったのか?
と言われそうだが、そうではない。
級長戸辺様が祭られている神社は、秋田県内だと数は少ないようだからだ。
以前天照様から、「信仰こそが神の力となる。」と教わった。
風の神を祭る神社が数少ないのであれば、俺なんかの参拝でも級長戸辺様の力になるのだろうかと思い参拝に行った。
二月下旬で気温が高くなったとはいえ、山間部にある神社の為、雪がある。
雪の中を歩き、本殿にたどり着いた。
そして、お清めの塩を少量程お供えして、参拝した。
この直前まで風は吹いていなかったのだが、参拝した直後、風が吹いてきた。
おとぎ話のような事だが、風が吹き、鈴も鳴った。
不思議な光景だった。
神社を後にして、市内のラーメン屋に行き、ラーメンを食べた。
相変わらず美味い!
仕事でストレスがたまると、よくこの店に来ていた。
今月は一体どれだけのラーメンを食べたろうか?
過食しすぎた。
痩せなければなるまい。
とりあえず、明日からしばらく資料作りに励む。
以上、是宮の日記より。
2021年2月25日 休日出勤と、神社巡り。
本日は休みだが、引継ぎの資料を作りに午前中出勤することにした。
会社に向かう途中、急にいつも通る道の脇にある神社が気になり、よってみた。
昨晩夢の中でその神社に俺がいて、透明な球体に包まれた。
そんなこともあり、朝起きてからその神社が気になっていた。
神社につき参拝したのだが、帰る途中で神社脇にある石像(仏像)が倒れていたので、おこして設置してきた。
おそらく2月13日の、福島沖地震が原因で倒れたのではなかろうか?
たしか、秋田県内でも震度4?とかあった気がする。かなり揺れていた。
そのあと仕事に向かった。
おそらくこの資料も、ゴミ箱に捨てられるだろう。
それはそれでいい。
こちらは、やるべきことをやる。
筋を通すのみ。
後はしらん。
以上、是宮の日記より。
2021年2月26日 今日も休日出勤と神社巡り。
本日も休みだが、引継ぎの資料を作りに午前中出勤することにした。
どうも昨日行った神社が気になって、ふたたびその神社を訪れた。
!!
昨日直した石像のほかに、まだ六体も石像が倒れていた。
背向けになって地面に転がっていたのだ。
幸い、一人でおこせる程度の大きさと重さだったので、おこしてきた。
神社をあとにして会社に向かったのだが、なぜか?車で30分以上離れた場所にある神社に行かなければならない気がした。
いやいや仕事しなければなるまいとも思ったが、なんだか気になりその神社へ向かった。
30分以上かかり、気になる神社へたどり着いた。
大きな倒木があり、社を破損していた。
保険での修理とかもあるかと思い、神社を管理されている方に連絡を入れて帰った。
もはや面倒くさくなり、休日出勤はやめた。
そもそも休日出勤するとも言っていないし、出勤の申請もする気がなかった。
さっさと家に帰り、昼寝をした。
夢の中で、三人の女性が現れた。
その女性たちは、先ほど訪れた両神社の使いと名乗り、礼を言われた。
そして、透明なフェイスガードのような物と、透明な小手を渡されたところで起きた。
今の夢は何だったんだろう?
夜になって美琴に電話で昨日、今日の話をしたところ、美琴からみゆきちゃんに代わった。
みゆきちゃんは、
「おじちゃん、神社さん行ったでしょ。みゆきちゃんが、困ってる神社さん、この指と~まれってしたの。おじちゃんが、たすけてくれるよって神様に言っておいたんだよ。
だからおじちゃんは、これからいっぱい、あっちこっちの困ってる神社さんからよばれるの。困ってる神社さん、この指とまれ作戦!」と、軽快に申された。
報酬ゼロ円で、おじちゃんは動かされるようだ・・・。
さらば、おじちゃん、また逢う日まで・・・。
俺は、一体いつから不思議な世界の住人になったのだ?
これから全国に、この指とまれ作戦しに行くの?
デンジャー!
以上、是宮の日記より。
2021年3月1日、秋田県内の高校では、今日から卒業式。
ほとんどの学校で、在校生、父兄は参加せず、卒業生と教員のみで卒業式のようだ。
俺のほうは、本日退職願を提出した。
「今年度をもって、退職いたします。」と言った。
これまでの不満をぶちまけても、意味がない。
とりあえず次の就職先も決まってないし充てもないが、円満に退職できればいい。
あとはこれまでお世話になった各協力会社様と、お客様にご迷惑がかからないように引継ぎができればいいのだ。
引継ぎをして退職する、これについては本来長い期間が必要なはずだ。
その時点でご迷惑をおかけするのだが、それでもこれ以上ここに踏みとどまるわけにはいかないと判断した。
しばらく保留させてほしいとのことだった。
保留したところで、俺の気持ちはかわらないですよ。
ちなみに、今朝の夢でどこかの神社にいた。
急な石段の先に鳥居と石碑が見えた。
石碑が人型となり、「よくぞ立ち寄ってくれた!そなた一人では心もとないだろう!我もついてゆく!」と言われたところで、目が覚めた。
どこかで見覚えがあるような気がする神社だった。
どこだろうか?
先月の困っている神社さん、この指とまれ作戦以降、毎日神社を巡っている。
参道を塞いでいた倒木も、あちこち寄せてきた。
いったいどこの神社だろう。
以上、是宮の日記より。
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