第6話 みゆきちゃんと、初対面

2021年1月4日 



美琴の方がやっと正月休みに入ったので、諏訪野家へ正月の挨拶へと伺った。

玄関でインターホンをならすと、二階から要子が降りてきたようだ。


ドアが開き、新年の挨拶を交わしたのち、二階にある美琴の部屋に案内された。


美琴は起きていたが、布団に入っていた。


俺の顔を見るなり要子を手招きし、「誰?誰?おねぇちゃん、誰?」という。

要子は「みゆきちゃん・・・」と言いながら、なんと説明したらいいか困っていた。


昨年末に美琴に電話した際、「おばちゃんじゃないよ。みゆきちゃん。」と答えた為、好きなお菓子やキャラクターを聞いていた。

イチゴミルクの飴玉との好きなキャラクターのチョコレート菓子を買って持ってきていた。


「この前電話でおはなししたでしょ。」と言ってお菓子をあげたところ、「おじちゃん、ありがとう。」と言って受け取った。


それからみゆきちゃんと少しお話した。

みゆきちゃんは幼稚園位で、誕生日は分からない。


赤いランドセルに黄色いカバー、黄色い傘に赤い長靴を履いて、水たまりでちゃぷちゃぷするんだよ。

動物園に、どうぶつさんたち見に行きたいの。

ねこしゃん(猫さん)も好き!

昨年11月に亡くなった我が家の愛犬とは、お友達。


そのような会話をしたところで、みゆきちゃんから美琴に代わった。


みゆきちゃんになっているときの記憶は、美琴にはないらしい。


他の方が見たら自作自演と疑うかもしれないが、当の本人は覚えていないそうだ。


しかもみゆきちゃんになっているときは、明らかに表情が違った。


おそらく佐藤さんの件が無ければ、俺も自作自演と疑っていただろう。

本当に不思議だった。


美琴は相変わらず、左胸に違和感があるらしい。

何事もなければいいのだが。


とりあえず初詣に四福神社を参拝し、後は諏訪野家でゆっくり過ごした。


夕食の最中、美琴からみゆきちゃんに代わった。

みゆきちゃんは、「美味しいものはみゆきちゃん!」と言っていた。


そして隣に来た要子を見て立ち上がり、要子の左肩の上あたりを右手人差し指で指し示しながら、ぐるぐると回し始めた。

そして、柏手を打った。


「おねぇちゃんの肩のとこに、ぐるぐるぽんいたの。」とみゆきちゃんが言った。


続けて「ぐるぐるぽんは、悪い人たちの使いなの。とっても悪いことするの。塩が苦手なんだよ。」という。


たしかに、昔から清めの塩や盛り塩がある。時代劇みてると、嫌な奴が帰った時に、「塩でもまいておけっ。」という台詞もよく聞く。

強いて言えば、俺に対する美琴の『塩対応』というのも現実的に存在する。


塩か・・・。と考えていたら、要子が機嫌を悪くし、周囲の物に八つ当たりしながら部屋へと行った。


しばらく沈黙していたが、ぐるぐるぽんという闇の使者が自分の存在を暴かれたため、要子を不機嫌にしたのだろうと判断した。


そのことをみゆきちゃんに確認したら、「そうだよ。」と言って、美琴に代わった。


美琴に今起きたことを話して、要子が寝たすきに塩をかけた。

夜10時過ぎに、要子が起きてきた。

先ほどのことは覚えていないようだったので、明らかな霊障案件と判断した。


心霊写真も、霊障も、降霊も馬鹿馬鹿しいと切り捨ててきた俺が、今は霊障と判断している。

おかしな話だ。

寝る。


以上、是宮の日記より。




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