優しく、微笑んでくれた

「あ……チョージさん」


 部屋に入ると、箒を持ったリコが部屋の掃除をしていた。


「掃除ありがとね、リコ」

「あぅ……」


 頭を撫でると、面白いように顔を紅くするリコにキュンキュンしそうになるが、我慢してパーティーのことを伝える。


「パーティーですか……楽しそうですね」

「楽しそうじゃないよ、リコ」

「え?」

「楽しそう、じゃない。絶対に僕が楽しくしてみせるさ!」

「あ、そういうことですか……」

「うん! 最高の笑劇にするよ!」

「ふふ……」


 リコが箒を動かす手を止める。


「私……今、幸せです」

「僕もそう思うよ」

「チョージさんとの出会いは……何も間違っていませんでした」


 それは僕も同じだよ、リコ。

 君達と出会うことがなければ、僕はきっと、化け物になっていたさ。


「ありがとね、リコ」

「チョージさん……」


 リコは僕の目をそっと見つめ――


「今夜の笑劇……楽しみにしています」


 優しく、微笑んでくれた。

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