君のことが大好きだよ

笑って病室から去った

 数日後。


「ワラヅカ軍曹。もう無茶はしないでくださいね」


「あはは……はーい」


 僕はようやく病院から解放された。理由は簡単。あの戦いの最後に自らの義手を分離させたので、その治療を受けていたのだ。


「本当にわかっているのですか?」

「わかっていますとも」


 看護師に別れを告げ、病室を去る。

 最高の仲間達がいる、あの街へ向かうとしよう。


「さてと――帰りますか」


 あれから何があったのか、僕はよくわからない。


『ここ、は……?』

『病院です、ワラヅカ軍曹』


 どうやら僕は意識を失っていたようで、病院に運ばれていたのだ。


『《焔奏怨負インフェルノーツ》は⁉ 王都の皆は⁉』

『落ち着け、チョージ』

『ジャーニー?』


 病室で目覚めた僕にジャーニーが状況の説明をしてくれた。


『そうか――』


 最後に放った僕の一撃で爆発が発生し、その黒煙が晴れる頃にはタクトとロールは姿を消していたようである。彼等の行方はわかっておらず、僕の一撃で塵になった可能性もあれば、黒煙に紛れて逃走した可能性もあるらしい。


『でも――』


 おそらく後者だ。あの二人があれくらいで塵と化すなんてありえない。きっとまた会うことになるだろう。しぶとい連中だ。まったく、困っちゃうね。


『それで、皆は――』


 シェルルは強く意識を失ったものの、身体に異常はなかったらしい。しかし《音楽姫ビートマタ》達は一度システムチェックをするために研究施設に戻ったとのこと。


『皆、無事だったの?』

『ああ。チョージのおかげで、皆無事だ』


 彼のその言葉に、心が救われたような気持ちになる。


『ジャーニー、ありがとね』

『チョージ、礼なら他に言う相手がいるだろう?』


 彼は笑って病室から去った。


『あはは――』


 やっとだ。

 やっと、大切な人達を守ることができた。それがとても、誇らしかった。

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