笑劇の結末ってヤツを!

「遅かったね、チョージ」


 城の屋根に上がると、鼓笛隊の皆が揃っていた。


「君達ひどいよ! 僕だけ部屋に突っ込んだじゃないか!」

「貴様ぁ、王女に何か破廉恥なことをしていないだろうな?」

「チョージくん、そろそろお腹が減ったぞ」

「我も黄昏の儀式の時間が迫っているのだ」

「ザーナ、今は夜よ! 夕方じゃないわ!」


 まったくもう! 僕が高級な壺を割ったというのに、君達は平常運転すぎないか?


「チョージさん……」

「ん?」


 リコが僕に話しかけてくる。彼女にも笑顔かめんの件で心配を掛けたな。


「私、やっぱりチョージさんのこと……信じてよかったです」


 君は人殺しである僕を受け入れてくれた。だから、泣かないでくれ。


「それは僕も同じだよ」

「え……?」


 君達と、鼓笛隊の皆と出会えたから僕は笑顔かめんを脱ぐことができた。

 僕はもうステージの上で踊るピエロじゃない。


「ありがとね」


 もう僕は笑顔かめんにこだわる必要はない。

 これからは僕達がこの劇を描いていく。最後に皆が笑顔になれる、そんな本当の笑劇を。


「だから――」


 そのためにもあいつには負けられない。


「見せてやる! 本当の、笑劇の結末ってヤツを!」


 この恐怖劇を――笑劇に変えてやる。

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