無理があるのでは
「ワラヅカ軍曹、ちょうどいいところに!」
まず現在の状況を確認するために、僕達は城へ向かった。
「王女、何かあった?」
王女の部屋に着くと、彼女の部下達があちらへこちらへと動き回っていた。
「反乱です」
「淫乱? 王女様、淫乱なの?」
「は、ん、ら、んです!」
「え? 孕んだ? 誰の子ですか王女様⁉ 流石に王女が婚前交渉はまずいですよ⁉」
「ああっ! もう! 今はふざけている場合ではないのですよ⁉」
「貴様は一度、セクハラで捕まった方が良いかもしれないな。世界中の女性のためにも」
「ごめんなさいパスタちゃん」
「ふ、ふん。本当にわかっているのか?」
「僕が本当に好きなのはパスタちゃんだから、そう嫉妬しないでくれ!」
「ちょ、チョージ! 貴様――」
「だから今夜は! スパゲッティの麺のように絡み合った夜を過ごそう!」
「貴様ぁ!
さて。そろそろリール達の視線がキツくなってきたのでおふざけはやめよう。
「いいですか! 反乱です! このガーデルピア王国で反乱が起きようとしています!」
「リカルド・シャンクティか?」
「はい。先程、彼がやってきて反乱を起こすと宣言したのです」
「やってきた? 守衛は何をやっているのさ? 敵の侵入を許しているじゃないか」
「そ、それがですね……」
何だ? リカルドは僕達が知らない未知の力を持っているのか? だとしたら、由々しき事態だ。早急に対策を練らなければならない。
「今日の警備兵達に、おにぎりの差し入れをしたのです」
「差し入れ――まさか⁉」
「はい――」
「あの激辛おにぎりを、食わせたのか⁉」
「私としたことがうっかりしていました……」
王女は辛い食べ物が大好きだ。そんな彼女が作ったおにぎりを兵士達が食べたらどうなるか――想像は容易だろう。
「あんたは二度と調理場に行かない方がいいよ、うん」
「でも、皆さん喜んでいましたよ?」
それは激辛おにぎりだから喜んでいたわけではない。王女が作ったおにぎりだから喜んでいたのだ。まったく、王女は罪深い女性だな。うんうん。
「それで? リカルド・シャンクティの行方は?」
「諜報部隊を編制して王都を捜索させているのですが、まだ見つかっていません」
「ふーん」
「ワラヅカ軍曹は匂いに敏感ですよね? シャンクティ大佐の――」
「あんなおっさんの臭いなんて覚えているわけないでしょ」
ああ、もう。想像しただけで気持ち悪い。
「チョージ」
「リール、何か思いついた?」
王女と話しているとリールが僕の服を掴んできた。意見があるのだろう。
「《
「リール達の力?」
「私達の楽器としての力、つまり音を街中に響かせてソナーのように捜索するのよ」
「それはちょっと――無理があるのでは?」
「と、思うだろう?」
「大丈夫だチョージよ。我々の音は人間達が奏でる音とは少し違う」
「ちょっと特殊な周波数の音で……リカルド・シャンクティを探します」
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