アンコールだよ

「どういうことさ⁉」


 僕は皆を集めて問い詰める。


「簡単に言えば、バックアップというやつだな」

「ば、ば、ば、バックアップ⁉」

「リールが自分の予備情報をマスターバトンに残しておいたということよ」

「じゃ、じゃあ! あの時の感動のお別れシーンは⁉」

「敵を欺くためにはまず味方からだと思って」

「あはは……」


 何だ、そういう、ことだったのか。あはははは――


「リール」

「何?」

「おかえり」

「ただいま」


 リールは僕の顔を見て、いつも通りの無表情で、


笑顔かめん、脱いだんだね」

「うん」

「はじめまして、だね」

「うん」

「今度パフェ食べに連れて行ってくれる?」

「もちろん」

「もう一度私を――奏でてくれる?」

「任せておいて」


 僕は皆の顔を一人ずつ見る。そして決意を固めた。


「ここからはアドリブ満載のアンコールだよ!」


 本当の笑劇を、見せてやる。

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