ああ、ごめん

「チョージ」


 誰かが呼んでいる。


「チョージ」


 僕の名前を呼んでいる。


「チョージ、大丈夫?」


 そこでようやく、僕の目が覚めた。


「リール?」


 ベンチで横になる僕の顔を上から覗き込んでいるのは――リールだ。


「どうしたのさ?」

「あなたが戻ってこないから、迎えに来た」


 周りを見ると、もう真っ暗で夜だということが嫌でも理解できる。


「あはは……」

「チョージ、泣いていたの?」

「え?」

「だって顔に涙の跡が――」

「え、ああ! 大丈夫!」


 僕が泣くはずがないだろう。いつも笑顔でニコニコしているナイスガイなんだから。


「ちょっと昼寝をしていただけさ。帰ろう?」


 夜道を歩きながらパン屋に戻ると、いつもの食卓が待っていた。


「チョージ! どこに行っていたのよ!」

「ごめんアコ。ちょっと昼寝しちゃってさ」

「ふふっ。おっちょこちょいだな、チョージくんは」

「フーロさんはヨダレを拭こうか」


 ずいぶんと皆を待たせてしまったようだ。申し訳ない気持ちになる。


「チョージ、ちょっと」


 ゼルネスが呼んでいる。何だろう。


「あの子たち、ずっとあんたのこと待っていたんだから、ちゃんとお礼言いなさいよ?」

「わかっているさ」

「ジーガルと私はすでに食べちゃったから、あんた達はゆっくり食べなさい」

「ごめん」

「皿洗いは全部あんたがやるのよ」


 それだけ言うとゼルネスは寝室に向かった。全く、敵わないな。


「チョージよ、早くごはんを食べようぞ?」

「ああ、ごめん」


 ザーナに呼ばれ、僕は急いで席に着く。


「それじゃあ食べようか」

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