第11話 セツナVSオウマ 上
サイコキネシスで作られた宇宙空間の足場に立つセツナ。まず彼はレイを抱えて宇宙エレベーターの帰還用のコンテナの近くに運ぶ、その背中を撃つような真似をオウマはしない。強者の余裕のつもりだろうか。セツナは振り返る。雷光を身に纏い。突撃する。そこに瓦礫がぶつかる。宇宙ステーションの一部だ。それを電撃で焼き払う。視えざる力で直接掴もうとするオウマの動きを読み取り亜光速で動き回るセツナ。
「ちょこまかと」
「……」
このままでは千日手、いつ気まぐれに宇宙ステーションをオウマが崩壊させないとも限らない。セツナは圧倒的不利である。だが、雷光はそれを気にしない。全ての攻撃をかわし、オウマに急接近する。
「ハッ! 間合いに入るとはな!」
「そうだ、間合いだ」
極光、最大電圧、巨大プラズマを作り撃ち放つ。オウマは目を見張る。サイコキネシスでプラズマの方向性を逸らす。しかし――
「次弾、いくぞ」
プラズマの連続発射、サイコキネシスの防御が間に合わない。オウマにぶち当たる。落下するオウマは宇宙ステーションの一部に激突する。
「お前、戦い慣れてないな」
「く、っそ」
「帰ろう、イマ、レイ。こいつはもう終わってる」
「ま、てよ」
オウマが立ち上がる、宇宙ステーションの瓦礫を集め、巨大な人型を作り上げる。
『第二ラウンドだ……!』
「随分、お早い、ラウンドコールだな」
オウマの巨大な拳がセツナを捕らえて投げ飛ばす。壁へと激突するセツナ。血反吐を吐く。しかし止まらない。雷光は消えない。むしろ輝きを増しているようだ。
「デカブツが」
『強がりを!!』
雷光は駆け巡る、セツナは一瞬を駆けて、オウマの瓦礫の腕を切り落とした。
「どこにそんな力が!?」
「力じゃない。これは意思だ」
瓦礫を纏ったオウマの全身を切り刻み、全てを本来の瓦礫へと還す。現代の歪なゴーレムは崩れ去った。
――かに見えた。
瓦礫のコア、心臓の部分に設置された筒、セツナは初めはそれが何かわからなかった。しかし、今になって気づく、射線上に入ってようやく気付く。
「対星砲――!?」
『動力はいらない。俺が炉心になればいい。手足はいらない。此処にアンカーは必要ない』
念動力が集まっていく。セツナは雷光のスピードでそれをかわそうとする。しかし。
「無駄だ。摂氏一万度。受け止め切れるか。庇い切れるか、妹とその複製体を」
その言葉に背後を見る。すると、イマを背負ってレイが帰還用のコンテナに乗ろうとしていた。
「このッ!」
セツナは電撃を使って最大限の電磁バリアを張る。
――極光が放たれた。
撃ち貫かれるセツナ、しかし光線の一筋たりとも背後に通す事はなかった。だがしかし。
「がぁ、はっ……」
ボロボロの身体、血にまみれ、火傷を負っている。満身創痍。それでも彼は立ち上がる。
「もう俺の勝ちだ。元から、俺が用意したステージ。酸素を奪っちまえば俺の勝ちだ」
「それをしないのは、それをするとお前も死ぬからだ」
「何を言ってる? 自分の分の酸素くらい確保できる」
「いや出来ない。今のお前は自分の力を制御出来ていない。出力を上げる事は出来ても、下げる事が出来ていない」
しびれをきらしたのか第二射を放とうとするオウマ。セツナはそれに応えるように電磁バリアを張る。
「そんな紙切れみたいな防御じゃな」
「試してみろよ、今度は完璧に防いでやる」
発射された第二射、爆煙が上がる。煙がだんだんと晴れてくる。そう、その向こう。そこには対星砲第二射発射前と同じ姿のセツナが居た。
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