第5話 襲撃戦


 アラハバキとは中心を持たない集団だ。いや正確にはリーダーとなるゴウキがいる。しかしを持たない。という点でおいて中心を持たないという意味で通っている。しかし、そのまでは隠しきれない。人が集まるところには流れが生まれる。生まれた流れは辿る事が出来る。辿られてしまう。それがゴウラの狙いだった。


「ビンゴ」


 その日は決起集会だった。各地に散ったアラハバキのメンバーを集め、宇宙エレベーター占拠への作戦会議の日でもあった。そこに白の流れが入り込む。


「目標補足、作戦開始」

「なんだこいつら!? おい全員武装し、ぎぃぁ」


 潰れるような断末魔、アラハバキのメンバー一人が首を捻られて死亡する。誰も手を触れていないのに。


「サイコキネシス……!」

「こいつら全員、心因性現実希釈症候群トラウマ持ちか!?」


 セツナが雷光を纏う。アラハバキの一人を殺した白い軍服の男を捕まえる。それだけで高圧電流が流れる。身体をガクガクと震わせる白い兵士。


「答えろ、ツクヨミ財団。どうして此処が分かった?」

「回答不能、回答不能、私ははは答えを持たななな」


 雷撃が迸る。白い軍服は焼け焦げていた。


「殺したの?」

「殺されたんだ、殺しもする」

「……それじゃあ」

「ああ、いつか俺も誰かに殺されるんだろうさ」


 そんな雷光の主を白い少女はただ見ているしかなかった。サイコキネシスト集団を迎撃していく、気付いた白い兵士は念動力をセツナへと向ける。しかし速度が違った。まさしく雷が地上に落ちる速度に匹敵する。白い兵士は百、アラハバキの戦力は五十。武装しても念動力に邪魔される。頼れるのはセツナだけ――そう思った時だった。ゴウキがロケットランチャーをぶっ放して突っ込んで来た。


「予定繰り上げだ! 現メンバーで宇宙エレベーターへ乗り込む!」


 UAZの車両に乗り込み発進する。白い兵士を蹴散らし、進む、ゴウキは念動力を意にも介さない。


「あんたのトラウマも大概卑怯だよな。ビルドアップ、肉体強化? それだけじゃないだろ」


 セツナの問いにウインクで返すゴウキ、セツナとレイをピックアップしたゴウキはUAZの集団の流れに乗る。


「そこ! 地下道に入って!」


 レイの指示が飛ぶ。ゴウキが従い坂道を下りトンネルへ入る。


「ここからどうする嬢ちゃん!?」

「宇宙エレベーターの真下まで行って! そこから私の生体IDを使って内部に侵入する……私しか通れない通路。本来なら使うはずのない通路。逃げ道」

「いざって時の隠し通路みたいなもんか……」


 ゴウキは後ろから迫る、白い兵士をアクセルベタ踏みで振り切る。アラハバキのメンバーが牽制していてくれている。彼らの中にも少なからずトラウマ持ちは居る。サイコキネシスを跳ね返し、氷や樹木をぶつけている。


「レイコさん、来てくれたんだ!」

「お前、本当にレイコの事、好きだよなぁ」

「え、セツナさん、好きな人が居るんですか?」

「ぶふっ!? そんなんじゃ!?」


 なんだか頬を膨らませるレイにセツナは困惑する、ゴウキはガハハと笑い、宇宙エレベーターの真下へと向かうのだった。

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