第8話 管理人生活、始動 その5
「あら、『贖罪』ですか、新しい管理人さん?」
そのセリフを投げられ、俺は弾きながらも即座に返事を返した。
「そうですよ。なんで知ってるんですか?」
「だって
「あのですね、それは良いんですけどここってテンプレお嬢様はいないという話だったはずなんですが?」
「あら、バレてしまいましたわね。でしたら私が誰なのかおわかりになられて?」
「そうやってふざけるのは1人しかいないとも聞いておりますが?」
「でしたら名前を仰ってくださいな」
「仮にも教員生活を送っていたんですけどね、僕。あなた、高坂遥乃さんでしょう。確か大学生でしたよね?」
「あちゃぁ、そこまで分かってるんだ。じゃあ仕方ないね、というわけで高坂遥乃です。よろしくお願いしますね、管理人さん」
「北野皆斗です。母と祖母がお世話になりました、よろしくお願いします、高坂さん」
「それやめてください。敬語は本当にやめてください。呼び方もはるのんでいいんですよ?」
「年下とはいえど、あだ名をつけるほどの趣味はあいにく持ち合わせていなくてね。遥乃さんでいいかい?まあ良くなくてもそうするけどね」
「ちぇっ。まあいいですよ、あまりつまらないけど」
「つまらない、ねぇ。ところでなんかリクエストある?あれば弾くけど。あ、あんまり長いのはナシね?ご飯の仕度の合間だから」
「え?ご飯の支度の合間?」
「そうそう、今漬け込みの最中でやること無いんだよね。それで今日この子直したからさ、せっかくだし弾いてみようと思って」
「そうなんだ。やっぱり経験者なんですね?」
「じゃなかったら弾けないでしょ、普通。で、なんかリクエストはあるの?」
「じゃあナイト・オブ・ナイツは?」
「いくつもバージョンがあるけど?」
「はい?」
「え?」
なぜか目を見開き、信じられない、といった感じの表情を見せる遥乃。
「ナイト・オブ・ナイツってバージョンありましたっけ?」
「だって某youtuberさんのアレンジとか、最早メドレーの域に入っているからね?」
「ああ、そういうこと。今日は原曲に忠実なやつでお願いします」
「了解。といっても1回聞かないと混ざりそうだから、1回だけ聞かせて」
「そのくらい良いですよ?」
遥乃の許諾を得て、1回だけナイト・オブ・ナイツを再生する。
音を掴み、そのままピアノへ向き合う。
そのまま勢いに任せて弾ききって見せると。
「え?え?本当に弾けた、だと……?」
「弾けますけど?だから弾いたんでしょうが」
「いやだって本当に弾けるなんて思ってないもん!」
初日から入居者を驚かさずにはいられないようだ。
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執筆時間の都合上、夕方投稿です。
おしらせ
近況ノートの方で、他の2作品の登場キャラも出てくるSSを投稿しました。
こちらはサポーター限定となっております。予めご了承ください。
なおこちらは「ポッキーの日記念SS」となっております。
日付が過ぎていることは触れないでください。
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