第27話 全員総出とは?
「大丈夫、あなた達2人は、私達女子が総出で守るわ」
クラスメイトの女子の1人が放ったそのセリフに、首を傾げる俺たち。
「総出で?何があったんだ?……楓、知ってるか?」
「ううん?何も知らないよ?」
「ちゃんと説明するわね。私達はね、あなた達のイチャつきを見るのが最高の至福なのよ。だから私達は全力であなた達を守り通すわ、あのいやらしい獣どもからね」
そう指を指した先にいたのは、先程楓を筆頭とする女子たちによって見事に撃沈した男子たちだった。
そして、その言葉にうんうんと頷く女子たち。
「要するにカプ厨ってわけか」
「そうとも言うわ」
「そうか。……守ってくれるってのはすっごいありがたいんだけれどな」
「……ひょっとして私達だと力不足?」
「いや、そういうわけじゃなくてだな。俺のせいでクラスがこう分断されているのを見ると嫌な気分にさせられるんだよな。……いっそのこと二度と喋れないようにしてやろうか」
「今なんかやばいこと言ってなかった?」
「いいや?何も言ってないぞ?」
「そっか。でもいま、律希はたぶん殺してやろうとか思ってたんじゃない?」
「よく分かったな。死なない程度に痛めつけてやろうかと思ってたところだ。そのほうがちょっかい出さなくなるだろうし、色々気分が楽なんだよな」
ピキリ、と教室の空気が凍りつく。
下手にちょっかい出せば命の危機が待っていると分かったのだから当然だ。
しかし、そこで変な発想をするお馬鹿さんはどの時代もいるようで。
「ど、どうせハッタリだろ?そう言っておきながら傷つけることなんかできやしないだろ!」
「てめぇ黙れって意――」
「死にたいの?」
盛大に煽ってきた男子にキレかけた瞬間。
一足先に沸点に到達したらしき楓がキレた。
もの静かに、顔は一切笑わず、殺気を身にまとい、一言一句に殺意をのせて話す。
「なっ……」
「あなたたちさぁ、どんだけバカなの?私が誰と付き合おうとあなた達には全く関係ないでしょう?だいたいさっきのやつどういう意味で言ってると思ってんの?もしこれ以上律希に何かするんだったら許さないから」
教室に吹き荒れる極寒ブリザード。
その威力に、ほぼ全クラスメイトが凍っていた。
そこに追加する楓。
「ああ、言っとくけど、これ以上他の女子に喧嘩売らない方が良いからね?」
それにそのとおりと賛同する女子たち。
聞けば、結構やらしい目線を向けられることも多々あるようで。
「道理で随分と怒りが溜まっているように見えるわけだ」
「へ?」
「やっぱり律希は気づいてたんだ」
「そりゃそうだ。じゃなきゃ莉乃さんに好かれないもん、多分」
今度は女子たちも会話について来れなくなってしまった。
男子たちは未だに生き返っていなかった。
……わずか1人を除いて。
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