第22話 病み上がりで駆け込み乗車はきつい

「はぁ、つくば駅猛ダッシュはきついなこれ」


 なかなか息が整わない俺。


「ふぅ、やっぱり無茶はするもんじゃないね。やっぱりもうちょっと早く家出るべきだったかな?」

「まあでも乗れたからいいけどさ。…南流山から何回か乗り換えでしょ?」

「そうよ。私達は大学が別のところだから路線が違うけど」

「ふーん」


 高校までは、南流山からJRと地下鉄を乗り継いで行く。

 そこそこの偏差値は高いところではある。

 なぜわざわざ埼玉県に行くことになったのか、それはもともと住んでいたところである。

 当時は川口市在住だったのだ。


 改札を入ってホームへ降り始めた段階で。


『まもなく2番線から、快速秋葉原行きが発車します』


 という放送が聞こえた。

 それが鳴ったと言うことは、もうすぐに発車してしまうということ。

 コレを逃したら最後、遅刻確定である。


 結局、階段を猛ダッシュして駆け下り。

 そのまま停車していた列車に飛び込む。

 すぐに後ろでドアが閉まり、列車は発車した。


 つくば駅6時57分発、快速秋葉原行き。

 車内には4人がけボックスシートがあり、1つ空いているのを見つけて4人で座る。

 電車が出発してすぐ、放送が入る。


『つくばエクスプレスをご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、快速秋葉原行きです。次は、守谷です。 Thank you for using the Tukuba-Express line. This is the rapid service for Akihabara. The next stop is Moriya, TX-15. 』


 手元に時刻表を表示する。

 今日は土曜日なので、土日祝日ダイヤ。

 自分の乗っている列車を確認する。

 つくば6時57分発、守谷7時9分着、流山おおたかの森7時17分着、南流山7時21分発、北千住7時32分発、南千住7時34分発、浅草7時37分発、新御徒町7時40分発、終点秋葉原7時42分着。

 停車駅がこれだけというのは驚きだが、もっと驚きなのはその所要時間。

 前から変わらず、わずか45分で秋葉原に着いてしまう。

 俺と楓が下車する南流山なら、24分。


 こうして列車に乗ってしまえば、しばらくのんびりと過ごすことができる。


「今日は土曜日か。……秋葉で買い物するか」

「やっぱりそう来るよね。大丈夫、私も行きたいから行こ?」

「私達も大学終わり次第合流するか」

「そうね。授業自体はあまりないから、やんなきゃいけないのさっさと終わらせよっか。……あ、律希、これお弁当。集合どうする?」

「16時に電気街口でどうだ?」

「それで行こう、莉乃。…しずくも楓もそれでいい?」

「私は莉乃と一緒にくるからいいわよ」

「私も律希と行くから大丈夫!」

「了解。……しっかし、車窓随分変わったね」

「そう?」

「うん。俺の記憶だと、こんなに高層マンションとかなかったもん」

「そっか……。いつも乗ってるからあんまり分からないね」


 トンネルを出て、車窓に随分驚かされる。

 なにせもう2年間乗っていなかったのだ、変わるのも当然である。

 その後もワイワイ喋りながら、俺たちは南流山駅を、しずくたちは秋葉原駅を目指して進んでいった。



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 土日だと、朝ラッシュ時間帯にも快速があるんです。

 前は平日ダイヤの際には通勤快速があったのですが、今は全部区間快速(所要時間1時間弱)になってしまいました。


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