第21話 学校復帰(またの名を地獄突入) その2

 今日の弁当担当は、しずくだった。

 朝起きてきたときに、やたら嬉々として料理している時点ですぐに分かる。

 そもそも、家での普段の炊事担当は俺だった。

 なぜなら、俺が一番料理ができるからである。

 後ついでにいうと、両親ともに仕事がかなり忙しい人だったからというのもある。

 だから、俺がしずくの料理をするところを見ることはあまりない、というか殆ど無い。

 なんなら、調理実習の課題が出たときくらいしか見たことがない。


 そんなしずくの料理する姿は、以外にも綺麗だった。

 可愛らしいくまさんが小さくワンポイント刺繍されたエプロン。

 俺の愛用の、紺色と白のストライプのシンプルなエプロンもそうだが、これらはしずくの手作りである。

 俺は料理が得意、しずくは裁縫系が得意だった。

 もちろんファッションセンスも只者ではない。

 仲が悪かったときでも、毎年誕生日には何かしら作ってくれたものだ。

 ちなみにエプロンはかれこれ5年程使っていた。

 だから今年で7年である。


 ちなみにマフラーは、前はしずくが編んでくれたやつを使っていたが、今は楓が編んでくれたやつを使っている。

 その代わりと言っては何だが、手袋とセーター・ベストはしずくが編んでくれたやつだ。


 話を戻すと。

 料理するしずくに見惚れているのは速攻でバレてしまい。


「もう、いまキッチンの中見たらお弁当の中身分かっちゃうでしょ?」

「……しずくがめちゃかわいい」


 思わずぽろりとこぼれた本音に、顔を真っ赤に染め上げるしずくと俺。


 そこにちょうどやってきた楓が。


「おはよ、律希……って朝から姉弟で何してんの?」

「「姉弟じゃなくてカレカノだ(よ)!」」

「……むぅ。私だって彼女ですけどぉ……」

「おいしずく、今のはなんだ?まさか私達のことを忘れたとは言わせないぞ?」

「言葉の綾よ。……なんか食べてく?」

「あいにく、家で朝ごはんは食べてきてる。……微妙にお腹へったけど」

「でしょうね。今朝も早朝から資料作成してたしね」

「なんでそれを知っているんだ?」

「そりゃ、あれ俺も共有してるもん。というかあれ作ったの俺だから、誰がいつどんな編集したか分かるんだよ」

「そうだったのか」

「そう。……無茶はしないでね」

「ああ、肝に銘じておくよ」

「ならよし。……ちゃっちゃと朝ごはん食べて行きますか!」


 あまり時間がないのを確認すると、急いで朝食をかきこみ、家を出る。


「じゃあ駅までのんびり歩くか」

「いや、そうも言ってられない気がする。……快速の時間まであまりないぞ」


 余裕があれば駄弁ってのんびり歩くところだが、あまり時間がない。

 なにせ、俺達の通う大学や高校は都内や埼玉県にある。

 一方、居住地は茨城県。

 快速を逃せば、高校生の俺たちは一発で遅刻確定である。


「やべぇ、発車まで時間ないぞ!」



 結局、駅まで猛ダッシュする羽目になったのだった。




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 なぜ高校・大学が都内や埼玉県内なのか。


 中学時代は皆川口市に住んでいました。んで、進学校である市立高校に行きました(どことはいいませんが、トップクラスです)。


 ちなみに、居住地はつくば(引っ越した)を設定としています。

 実は私、つくばエクスプレスでつくばから毎朝快速とか通勤快速で登校するのに憧れてるんです。


 高いけど(値段が)


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