第18話 律希の決断
一旦深呼吸する。
今から言うことは、目覚める前であれば信じられないほど悪い話。
いくら今許されるからといって、産まれてから十数年もの間駄目だったものが急にOKになったところで、それが許されるかは別。
むしろ、何かしら非難される可能性だってある。
それでも、自分には嘘をつきたくない。
だから……
「先に話したいことがある。しずく姉?」
「ん?どうしたの?」
「血縁関係のある姉弟間での婚姻は認められているのか?」
「それはまだ駄目なんだけど、この話言っていなかったっけ?」
「この話?」
「私達の出生に関わる話」
そんなもの聞き覚えがない。
「たぶん聞いてないよ?」
「そう。……実はね、私ってお父さんのお姉さんの子供なんだって」
「へ?……じゃあしずく姉はお姉ちゃんじゃなくて従兄弟?」
「そういうことらしいの。私が産まれてすぐに亡くなってしまったらしくて、そのときにお母さんが進言して引き取ったんだって」
「なら……従兄弟だから、結婚しても問題ない、ね?」
「そういうこと」
今後の関係における一番の課題は難なくクリアされてしまった。
「そっか。……楓」
「はい」
「しずく」
「うん」
「莉乃」
「ん」
「俺は、3人のことが好きだ。優柔不断ではあるけれど、俺には3人から1人選ぶというのはできない。そのくらい皆のことが好きで、結婚したいくらいに想っている。……こんな俺だけど、付き合ってくれますか?」
「……それが律希の答え?」
「ああ、これが俺の中で導き出した結論だ、楓」
「そう。……しずくさんと莉乃さんは?」
「私は特にないな。ああ、1個だけあったな」
「なんですか?
「律希くん。こんな私だが、よろしくな」
「ええ。こちらこそよろしくお願いします」
「そうか。そう言ってもらえて嬉しいよ。……しずくは?」
「いろいろあるけど、これでお姉ちゃんからお嫁さんになれるんだって思うと本当に嬉しい。今更だけど、これからもよろしくね、律希」
「こっちこそ。あ、さっきので気づいたかもだけど、2人のことはしずく、莉乃って呼ぶことにするね?」
「「いいよ」」
こうして、俺は3人と付き合うことになった。
まさかそれが、新しい問題を引き連れてくるとは知らずに。
そしてその問題に、俺は一生悩まされることになる。
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今回は短いです。
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