第16話 見覚えのあるような、ないような その2
楓が受験生で、しずく姉と莉乃さんが大学2年生。
耳を疑うようなその話に、脳が理解不能状態に陥りかける。
ただ一方で、だとすれば俺が感じた違和感の正体にも気付けるわけで。
あの時から2年経っていたなら、妙に大人びていたり、どことは言わないが成長してたりするのにも説明がつく。
そして、さらにもう一つ重要な話があるんだとか。
「あのね、新しい法律ができたんだよ」
「それが?毎年いくつか成立してるけど?」
「私達の関係に根幹から関わってくるやつなんだけどね――」
ペラペラと語られるその法律。
「はあ?そんな法律が成立してんの?」
「そうなんだよね。だからかな?律希がいるって知ってるのに、3人揃って色んな人から声をかけられるんだよね」
少子化抜本対策法。
俺が眠っていた間に成立したこの法律は、なかなか大胆な法律だった。
当事者全員の同意があれば、一夫多妻制を認める。
さらに、男女ともに17才以上の場合、婚姻および出産を認め、また相思相愛のカップルの場合はこれを推奨する、というもの。
ようは、高2以上の相思相愛のカップルなら、在学中に結婚し、出産することができる、さらにはハーレム状態を認めるということだ。
「あれ、でもあくまで『一夫』だよね?」
「そうだよ。だけど口だけは妙に達者だからね、そこらへんを上手くカモフラージュして浮気じゃないって言い張ったり、もう律希が目覚めることはないからって結構強引な手を使おうとしてきたりするんだよ」
「え?そっちと関係持っちゃったとかじゃないよね……?」
「全く。そもそも私達がコテンパンに言い負かすし、「律希が〜」とか言い出したらブチギレるし、あと莉乃さんが総長モードになるし」
ああ、それなら安心だ。
この3人の中でブチギレさせていい人は1人もいない。
なぜなら、メンタルをズタボロにされるだけでなく、下手すると人格否定までされるからだ。
おまけに、そいつは他の女子生徒からは、たとえそれまでモテていても一瞬で相手にされなくなるというプレゼントつき。
一体全体何人が犠牲になったかは知らないが、好きな人がいると分かっててなお声をかけるというのは話が違うだろう。
しかし、問題はそれでは終わらなかった。
「てことは、もしかして……」
「うん、私達3人全員と結婚できるよ?私達は4人で暮らすのも良いと思ってるよ?」
俺の心配事を察したのか、先回りして答える楓。
俺が懸念したのは、これで3人と同時に付き合う、と言い出しても大丈夫なのか、優柔不断だとか思われたりしないだろうか、ということである。
そして今、それを全く気にしないという返答が得られた。
他の2人はというと、どちらもうんうんと頷いている。
そこで俺は改めて考えてみることにする。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
次回冒頭、回顧録です。
おしらせ
近況ノートの方で、他の2作品の登場キャラも出てくるSSを投稿しました。
こちらはサポーター限定となっております。予めご了承ください。
なおこちらは「ポッキーの日記念SS」となっております。
日付が過ぎていることは触れないでください。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます