壺
僕、或いは無花果
枇杷が死んでしまって僕たちは4人になった。
枇杷は優秀な子だったけど欲を出してしまったね。
神様が言った。
残念そうな口ぶりだった。
「
皆の前で手招かれる。
こんなことは初めてだ。
「お取り。これはあの子の体、あの子の置き土産」
神様の白くて大きな手の中には、小さな金平糖があった。
白、ピンク、青、薄緑、色とりどりの金平糖。
どうしたらいいのか分からなくて神様を見上げる。
神様は笑っている。
「好きな色を、好きなだけお取り」
好きな色──
枇杷は橙色の服を好んだ。
枇杷。
死んでしまったけど僕たち、ともだちだったよね?
意を決して伸ばした手を、駆け寄ってきた苔桃が、強く掴んだ。
「やめろ」
聞いたことのない声だった。
僕は戸惑い、瞬きをすることしかできない。
苔桃は強い口調で続けた。
「目、見えないのか? よく見ろ」
よく見る。
神様が──顔を顰めて──その手の中には、
醜くひしゃげた眼球がふたつ。
明るい茶色の虹彩の持ち主は、ああ、その瞳の持ち主は。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます