あたしあたし人を殺したわ。

 枇杷が歌うように言い、八朔はっさく椰子やしの顔が険しくなる。

 僕たちは5人になった。

 5人になると試験を受ける。

 試験の内容は教えてもらえない。

 僕たちは自分で考えて動かなければならない。


 ひとりでもいいし、仲間とチームを作ってもいいよ、とは言った。

 枇杷はひとりで動いている。

 八朔と椰子は仲間になった。

 僕もひとりで動いているけれど、苔桃こけももとだけは少しだけ話す。

 苔桃は僕よりも背が高くて、体に凸凹がない人間だ。

 僕より年上かもしれない。

 男か女かは分からない。

 苔桃はとてもゆっくり喋る。

 苔桃は言葉を選ぶ。

 苔桃は気軽に死ねとか言わない。

 殺すとも言わない。

 苔桃の笑った顔が、僕は少し、好きだ。


 あたしあたし人を殺したわ。

 枇杷の浮かれた声がする。


 おおかみをつくったの。

 神様が枇杷を優しく撫でる。


 神様は壺の外に住んでいる。

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