第7話 黒真珠はお姫様の夢を見る

「コスメ、、ですか?」

静葉には思いもしない嬉しい提案だった、なんせ自分で化粧品を買うときは一緒に来てくれる友達もいなく一人でしどろもどろになりながら選んでいたからだ。

「うん、だってほら、静葉ちゃん涙でせっかく綺麗な目がパンダになってるから、、」

詩織が差し出した手鏡を借りて顔を見てみると、確かにそこにはパンダと瓜二つの目があった。

「あああぁ、せっかくしおりさんと会うから頑張ってお化粧したのに、、、」

静葉がそう呟くのを聞いた詩織は、自分のために頑張ってくれたと思うとなんだかすごく嬉しくなった。

二人はお会計を済ませて同じデパート内のLAFTという雑貨屋へ向かった。

「とりあえずそのパンダ目を治すための濡れ綿棒と、、、静葉ちゃんはオレンジ色が似合いそうだからこのアイシャドウがいいかな」

サンプルのオレンジのラメがキラキラとして可愛らしいアイシャドウを詩織は静葉の手の甲に乗せた。

「うん、肌馴染みもいいしこれ、素敵だと思うんだけどどうかな」

静葉の顔を見ると沸騰するんじゃないかというくらい顔が赤くなっていた。

「あの、私こんなのはじめてでっ、すっごく嬉しくて!あとなんか、甲に添えてもらってる手が、なんだかこう、指輪をはめられてるみたいで、、、」

静葉は少女漫画的妄想が暴走していた、かっこいい王子様に結婚を申し込まれて指輪をはめられるヒロイン、詩織が無性にステキに輝いて見えた。

「えっ、ええ!な、なんかごめんね?」

パッと詩織は手を離す、どんな気分になれば良いかわからなかった。

それに自分が指輪をはめるなんて想像ができなかった、

この子にはめる相手になれるならそれはこの上ない幸せだけど。

「あ、やだ、えっと、ま、まだ手を離さないでほしいです、、、」

静葉は勇気を出してぎゅっと自分から手を繋いだ、狭い店内ではいささか移動しづらいが静葉が勇気を出して手を繋いでくれたことは詩織も分かったのでその手は解かなかった。

結局買い物は手をずっと繋いだまましていた、よくわからない韓国の袋麺や、ぷにぷにとしたゼリーのような石鹸を冷やかし半分で見ながら歩いて回り、買ったのはオレンジのアイシャドウと、ブラウンのマスカラに垢抜けた色のアイブロウだった。お会計の後同じ階にある化粧室に行き、詩織は静葉に買ったコスメでメイクをした。

ガタガタの眉毛は平行でかわい目に、ブラウンのマスカラで垢抜けて。

オレンジのシャドウは二重幅より少し広めに。

「ん、完成!」

詩織が静葉をむけるそこに映るのはさっきとは全く別人のようにふわふわで可愛らしい女の子だった。

「すごい、、本当のお姫様みたいに可愛い、、、!詩織さんすごいです!私じゃないみたい!」

詩織は元々の顔がいいからちょっと工夫するだけで変わるんだよ!と力説したいところを抑えて

「うん、本当に可愛いよ」

と一言にこやかに言った。

「じゃあ、この後は予定通りあそこにいこっか」

詩織の言葉で二人は歩き出す。

そろそろ夜に差し掛かってきて蒸し暑さが静まってきた頃

二人はプラネタリウムに着いた。



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

銀湾の首飾りは二人の心をくっつけたい!! 鳩羽桐一(はとばきりひと) @KIRIHITOHATOBA0928

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ