第3話 二人が出逢った日
次の日、静葉と詩織は、2人とも同じ場所に向かっていた。そう、あのパールのネックレスの売り場に。
これが2人の出会いだった。
ほとんどスルーされる黒真珠と白真珠が交互に配置されているネックレス。
そのネックレスを見つめるのは静葉と詩織の二人だけ、静葉はなんだか気まずかった。
「あの、このネックレス、素敵ですよね」
静葉は勇気を振り絞り、詩織に声をかけた。
「あっ、そうですね!」
詩織はネックレスに夢中になるあまり静葉のことに気づいていなかった。
そこで初めて静葉の方に振り向く。
ここで詩織は静葉に一目惚れすることになる。
カラスの濡羽のように真っ黒な髪と、吸い込まれてしまいそうな漆黒の目、化粧に慣れていないのだろう、コンシーラーで隠しきれていないそばかすにすら、瞬きをすることも忘れて魅入ってしまった。儚げでいつの間にか消えてしまいそうなまるでネックレスと同じ、黒真珠のような彼女に詩織は堪らなく惹かれてしまったのだ。そして声をかける。
「よかったら、素敵な場所を知ってるんですが、行きませんか?」
正直、自分でもびっくりしていた、こんなナンパみたいなことを人生のうちにするなんて。
「えっ、、、は、はい!」
そんなあまりに突拍子もない誘いに、二つ返事で静葉は応えてしまった。
どんな場所に連れていかれるのだろうかと不安半分、少女漫画のようだと期待半分に静葉はついて行った。
「着きましたよ」
詩織に案内されたのはデパート内の人の少ないカフェだった。
「落ち着いていい場所ですね」
静葉は少女漫画的妄想よりも普通の場所で少しがっかりして、しかし怪しい場所でないことに安堵しながら言った。
「ここ、普通のカフェだけどすごく美味しいパフェがあるんですよ」
詩織は店員にフルーツパフェとブラックコーヒーを注文した
「そういえば、私あなたの名前も知らないんですが、、、」
静葉はおずおずと詩織に聞いた
「あ!そうですよね、私は詩織って言います、可愛らしいあなたをここに誘えてよかった」
まさか一目惚れをしたなんて恥ずかしくて口が裂けても言えなかった。
「え、あ、可愛らしい!?そんなこと初めて言われました、、、私は静葉って言います」
静葉は恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまった。
詩織がそんな顔を見て、更に愛おしいと思っていた頃に、パフェが運ばれてきた。
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