第2話 カメレオンも木から落ちる

「わぁ、なんて可愛いネックレス、、、」

一昨日、大好きだった彼に振られた。理由はかわいらしく甘えてくれなくて、自分の存在が意味のないように感じたからだそう。

詩織はいわゆるカメレオン女子で、元々はシンプルが好きな特に自分に特徴のない人間だと思っていて、好きな相手の好みになることによって自分の個性を得ていた。

彼は最初、自立した女性が好きだと言っていたから頑張って強がっていたのだ、強めのスキニーブロウに跳ね上げたアイライン、アホ毛の一切ない一本結びスタイルと隙のない仕草。会社でも仕事ができてかっこいいと評判で、そんな自分に誇りも持っていた。

しかし結果は虚しく、彼は会社の後輩のふわふわとした可愛らしい女の子に浮気していた。

私が今までしていた頑張りはなんだったのだろうと半ば自暴自棄になった心を癒すため、詩織の唯一の趣味であるアクセサリー収集をしようと仕事帰りにデパートに寄った、そしたらあまりにも綺麗で素敵なパールのネックレスを見つけたのだ。

普段は付けないような、パールがウルウルとした瞳のような可愛らしいネックレス。

私には似合わない、もっと可愛らしい、そうあの浮気相手のような子の方が似合うんだろうなと思いながらも惹かれてしまい、ずっと見つめていた。

次の日、その可愛らしいネックレスを頭の裏で思い出しながら

「私だって、あなたが望むことを知っていたら、可愛く甘えてたよ、、、」とポツリと職場で言葉がはみ出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る