第27話 自衛官
自衛官
そう俺達は被災者、USA側はインベーダーの一味と疑っているようだが、本当にインベーダーなら撤退するように命令する事などありえない。
そのぐらいの事直ぐ考え付くと思うのだが、USA側は疑いをかけといて強制的に連れて行こうと考えているのが少し腹立たしい、だが間に入っている自衛隊の指揮官は中々に切れ者だった。
「ちょっとおじさん離れて伝えてくるから待っててくれるかな?」
「いいよ」
「じゃあ行ってくるね」
一等陸尉 35歳 岩田 幸造 防衛大学卒業後直ぐに陸自へ入隊、幹部候補生として入ったが2年間は新兵として静岡駐屯地に赴任、その後各地を1年単位で転々とし3年前に同じ自衛官の女性と結婚。
現在2児のお父さん、今は陸上自衛隊の本部がある赤坂に赴任中。
自宅は自由が丘、今回のインベーダーの攻撃は彼の自宅までは影響なかったらしい。
彼は車から外に出ると黒服に情報を伝え次に捜索中の自衛官にも情報を伝える。
すると、黒服のリーダーにも上からの連絡が入ったらしいスマホを手に取るとなにやら話し始めた。
そこからは早かった、自衛隊は俺たちの洋服探しに協力してくれて、母はその陣頭指揮をとる。
黒服たちはここでの捜査は終わりとばかりにさっさと撤収して行った。
陸尉は今までの経緯から、俺たちが被災者でありそしてこの事態を救ったであろう英雄なのではと考えた、おれが話した内容の中にUSA側から聞かされていない内容が多かったためだ。
例えば母船である宇宙戦艦の数や載っていたロボット、そして小型の円盤などなど、さらには通信システムやマザーコンピューターの設定をリリーさんからの丸伝えで事の経緯を説明すると。
陸尉はこのまま黒服に引き渡せば国防上の情報はUSAから引き出すことが出来なくなるし、それよりもこちらで調べて情報を渡す方がメリットは大きいと判断した。
だから上層部へ現場判断で鎌をかけた、情報戦はやはり戦争経験があるUSAの方が優れているが、だからと言って言いなりになるのはいかがなものかと、そしてここは日本だと上に掛け合ったのだ。
「そこそこ そこに有るでしょ赤い布」
「これですか?」
「引っ張らないで、それ私のだから」
派遣されてきた自衛官は10人、そのうち5人が洋服探しに協力してくれて1時間と立たずに使えそうな服が全部瓦礫の中から収集する事ができた、当然貴重品も合わせて見つけることが出来たのだが。
「これで終わりでしょうか?」
「ええ助かったわ、有難う」
「いいえどういたしまして」
「では我々はこれで」
「ああどうせだからお家まで送りましょう」
「あらいいの?」
「はいまだ少しやらないといけないこともあるので、お家ちまで送らせてください」
この場所へは自衛隊の軽装甲車3台と、あのよくみる兵員輸送トラック1台で来たらしい。
軽装甲車2台は黒服を乗せてどこかへと去って行き、残る隊員10名が倒壊した家での作業を手伝ってくれた。
そして家まで送っては貰ったがそこで俺と母そして岩田陸尉とで話すことに。
「どういうこと?」
「ええ大事な息子さんから少しお話をお聞きしたいことがありまして、これからもう少し詳しいことを聞かないといけないのです」
「母さん仕方ないから少し行ってくるよ」
【大丈夫任せておいて】
【わかったわ、じゃあ後で話しは聞かせてね】
「いいわ、でもうちの息子に何かあったら許さないわよ」
「それはもうお任せくださいこの命に賭けてもお守りします」
「いいわ」
「じゃあ行ってくるね」
「お兄ちゃん」
「大丈夫だって」
心配そうな顔をする妹を尻目に又車に乗り込む、自衛隊の軽装甲車の乗り心地はそう悪いものではなかったが、家から陸自の指令本部までは結構な道のりがあった。
陸自の軽装甲車で約40分、そこは赤坂にある陸上自衛隊の本部でありその回りには各自衛隊の本部や首相官邸などがある場所。
「着きました」
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