第23話 とりあえず買い物を済ませる
とりあえず買い物を済ませる
「ごめんね」
「仕方ないよ、それより母さんお金は?」
「一応荷物の中にカードがあったから支払いは大丈夫よ」
崩れた家の瓦礫から電波探知でカード類も探す事ができた、ICチップ入りなのでロボの検索機能に反応したからだ。
さすがにあのまま放置しておくわけには行かないので直ぐに荷物と共に運んでおいた。
現金だけは逆に捜索が難しかったので置いてきたが、母は殆どカードやスマホで支払いをしていたので家にあるキャッシュは父のものが殆どではなかったのかと想像できる、まあ後で父が言ってきたら探すのを手伝おうかと思う。
「分かったまずは米それとも野菜?」
「え~とそうすると野菜からね」
そこからはいつもの倍の量を超える買い物が始まる、野菜だけでも7種類サラダと煮込み用と、さらになべ用の調味料も。
肉も鳥・豚・牛と買い込むこと約1時間、買い物籠は5つにもなり。
勿論米やパン類も買い込んだ。
「多くない?」
「ええとね今度はマンションの最上階なのね」
「そうか運ぶのが大変なんだね」
「独身の時マンション暮らしはしたことがあるのよ、創作活動で暇がないと冷蔵庫の中が空っぽになった時ものすごく悲惨なのよね」
昔を思い出したのか母のテンションが一気に下がるのが分かった。
なん日も仕事に没頭し入り込むと食事をするのも忘れてしまうのだが、買い物さえ行かなくなるため買い置きはどんどん減っていく。
終いには水しか無くなり餓死寸前になった事もしばしばだと言う。
その時の経験からマンションに住むならば買い物は最低数週間分をまとめて買うことにしているのだとか。
当然宅配も多用するのだが、マンションは宅配を取りに行くのも面倒だと言う話し。
いちいちインターホンで扉の解除もしなければならず、多量の食材を一気に運ぶ方も中々面倒なのだ。
それに今は通常の暮らしに慣れているため、毎日の買い物も楽しいと言う状況になれてしまっている。
「こりゃロボ化の強度、一つあげないと運べないかな…」
大きな買い物袋が5つ、どう考えても一人では持てない量だった。
「それにしても母さん体の動かし方上手だね、俺は2日は掛かったのに」
「そうよね、最初リハビリとか言ってなかったかしら」
「たぶん俺が事前に色々設定して置いたからかも」
「そうなの?」
「うん最初にどのくらい動かすか設定しておかないと触るものみんな壊してしまうからね」
「そうだったのね」
だが母もおおきな袋2つを持って何事もなかったように歩き出す、その量10kは優に超えており、女性が持つ重さではないのだが。
「大丈夫そうだね」
「すごいわこんな重さも今まで持ったことないのに」
今度来るときは大きな車輪付きのバッグとデイバッグを用意しておかなければと考えていた。
いくらなんでも普通の女性が持つ量を超えている、とうぜん不思議がられることが予想される。
数分後マンションの最上階の部屋へとたどり着くと、すでに妹と父はソファに座りくつろいでいた。
「お帰り」
「お兄ちゃんお菓子買ってきた?」
「お菓子は少ないぞ」
「あ、チョコあるじゃんラッキー」
見つけるとすぐに持ち去る妹。
「その前にすることがあるんだが」
「愛菜ちゃん冷蔵庫に入れるの手伝って」
「んわは~い」
チョコレートを半分口にくわえ母の手伝いを始める、その量は半端ないのだが、冷蔵庫の中は空っぽだったためそこへ入れ込むのはさほど難しくはない。
「これは?」
「それは冷凍庫へお願い」
母は器用にも冷蔵庫の中に食品を入れながら今晩の料理を決めて調理まで始めていた。
袋から出しては冷蔵庫に詰め続けること約20分、ほぼ入れ終えてもまだ冷蔵庫にはかなりの空きがある。
業務用と思われるほど大きな冷蔵庫2つ、買い物袋5つぐらいではまだまだ余裕があった。
そしていつの間にかコメが炊き上がり、鍋からは例のごとくカレーの香りが
「久々にカレーだ」
「そっか、お兄は久々だったね」
俺が前回母特製のカレーを食べたのはすでに3週間前のこと、その後妹は俺が入院中にカレーを食べたらしい。
うちのカレーは甘辛で若干お子様よりだが、ちゃんと辛味も加えてあるため俺はこのカレーが大好きだったりする。
福神漬けの袋を開けると器に盛ってテーブルへ、その間も母は野菜を刻みボウルへと盛って行く。
「これぐらいかしら」
サラダ以外にも缶詰めを2個空けサラダに加える、ソーセージを袋から出すとお湯にいれボイルする、そして米が炊けると皿に盛り付けカレーが出来るのを待つこと数分。
盛り付けられたカレーを運ぶと4人は、わき目も振らず食べ続けた。
「おいし~~~」
「久々の味だ」
「母さん大好き!」
「へっへ~~参ったか」
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