第14話 ロボ化を母に設定

ロボ化を母に設定


母の身体は宗助がロボ化と叫んだ時から徐々に変化していく折れた骨はまるで時間が戻るがごとく次々に元へと戻っていき、肺に開いた穴も徐々に塞がっていく。

そして折れていた背骨も元の形へと変わって行くと共に脳の一部にもロボ化を設定、彼女の場合大脳は殆ど損傷しておらず全体をロボ化する事は無かったが、通信モジュールを使用して会話できるようにする為一部のみロボ化を適用した。


「宗助様お母様の身体は50%のロボ化で留めました、これは大脳の殆どがまだ機能していたためです、やむを得ずお母様との会話の為 通信モジュールを組み込みました」

「分かったそれでいい」


母の肩から脇の下へ手を入れ引き摺り出す、ロボ化が適用されているため難無く瓦礫の下から母の体を出す事ができた。

先ほどとは違い彼女の体には損傷は全く見られなかったが、口や腕そして足からの出血痕だけは残っていた。


「そ 宗助?」

「母さん」

「ママ!」

「愛菜」


母の無事な姿を見て3人は抱き合う、まさかこんな形で家族にロボ化を使用する事になるとは。

俺はその後壊れた家の屋根を元の重さに戻し、母親をおんぶすると一番近くにある総合病院へと連れて行くことにした、どちらにしても家は崩れていて中には入れないし電気もガスも止まっている、だが移動先の病院そこは戦場と化していた。


「先生又急患です」

「そこのストレッチャーは2階よ」

「軽い怪我の人は後回しよ、重傷者を先に」


病院は非常時の自家発電でエレベーターも動くようだ、ロビーには30人以上の患者と付き添いが。

一応母はロボ化のおかげで体自体は何処も悪くは無いのだが、血液だけはかなり消失しており現在は貧血状態。

ロボ化によりそれでも動く事はできるが、現在は彼女の脳と各末端神経との伝達が上手くつながるまで出来ればリハビリが必要な状態。

先ほどからも宗助は母と脳内通信モジュールを使い情報をやり取りしている。


【どう指は?】

【ええ少し良くなったわ】

【こんな感じで足もゆっくり動かして、早く動かそうとするとその付近に接しているものに影響するから】

【分かったわ、宗助もこうしてリハビリしたのね】

【そうだよ、おかげで今はちゃんと動けるようになったから、母さんも直ぐ動けるようになるよ】


「ねえ、大丈夫かな~」

「え 何が?」


急に妹から話しかけられびくっとした。


「おにいなんか変だよ」

「な 何が?」

「何か隠してない?」

「何も」

「愛菜ちゃんおにいちゃんも緊張してるのよ」

「へ~そうなんだ」


なにやらニヤニヤしてる妹の頭をくしゃくしゃとなでる、だがこのままここにいてもなんだか無意味な気がしてきた。

どうやら病室はすでに一杯のよう、それに続々運ばれてくる怪我人。


「母さんここでは診てもらうまで時間が相当かかりそうだ、避難所の方に行った方が良いかも」

「そうすると近くの学校ね」

「あたしもその方がいいと思う」愛菜


結局近くにいた看護師さんに移動する事を告げ俺達は近くの学校へと行くことにした。

そこは昔俺が通っていた小学校、勿論妹もそこに通っていた。


「懐かしい」

「変わんないね」

「え~と、体育館かな」

「あ、あそこだ」

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