第6話 アニメからフィギュア

アニメからフィギュア


こういうアニメは多いので他との違いはキャラの綺麗さやアテレコのマッチングでしか違いはそう分からないのだが、俺には彼女の生きざまが妙に心に刺さったのだ。


「そういえばスキルロボ化はフィギュアにも使えるんだよな?」

「使えますが時期尚早だと申し上げます」

「どうして?」

「ご自分の体でさえまだ微調整が必要なのに、他のボディにロボ化を施せばどんな結果が出るか分かりませんよ」

「う…確かに」


ナビゲーターのリリーに釘を刺されてしまった、確かに今の俺はまだまだ説明書の10ページあたりで設定を読み返している最中。

自分の体でさえ上手く操るには、あと数日訓練が必要な状況。

退院後の2日で何とか自分の体だけでも上手く操ることが出来れば良いかなと思っている状態。

それなのに他に心配事を作ってしまえばどんなトラブルが待ち構えているかなど、推して知る由だろう。

わざわざトラブルを増やすなどもっての他というところ。

だが目の前のフィギュアがAIを設定しロボ化すれば自由に動き出すのだ。

試してみる価値はあるだろう。

まあそれにはやはりもう少し自分自身の動作設定を煮詰めて、その設定をフィギュアにコピーできればかなり人と同じ動きが出来るようになるはずなので、ここは我慢のしどころだ。

それにしても身長50センチのクロームリリーはすばらしい出来だった。


「これを作成した人は神だな」

「作成者は人ですよね?」

「ああそうだよ、要は神に等しいぐらいすばらしい芸術家だということさ」

「そう言う例えなのですね」

「君はナビゲーターAIなのにすごいね」

「私の思考回路はご主人様の記憶を元にしております」

「ああそう言うこと」

「はい、擬似AIですが、ご主人様と共有して複数の思考を同時に行なうことができます、これも脳がロボ化した為なのだと思われます」


脳をロボ化=コンピューター化したということ、人間の脳は未だにスパコンの数十倍の能力がある、しかもその出力は通常30%しか使われていない。

今現在自分の脳が何%使用されているの分からないがたぶん50%が良いところ。

それでも同時にナビまで利用しているのだから、その能力はロボ化する前の何倍にもなっているのではないだろうか。


「そうかそれならもっと色々試して細かく設定して人の体を操る様式をパターン化しておかないといけないな」

「はい」


部屋の中で、色んな体位をとり動きを確認しながら細かな設定を加えて行く。

そして声の出し方や音程なども、時折発声練習のように早口言葉も入れながら。


「すばらしいです宗助様」

「あまりほめられると照れるな…」

「いえいえ御謙遜を」

「リリー、君にこのフィギュアの設定を任せたりは出来ないのか?」

「可能ですが、よろしいので?擬似人格をつけて新たに作成することも可能ですが」

「いや君に頼んだほうが間違いがなさそうだ、動きをしっかり制御できるようになったら君のボディとして使用できるように設定しよう」

「有難うございます宗助様」


フィギュアの重さは5kと少々重いが、金属部品は殆どステンレス合金製なので致し方無い所だ、バイザーとヘッドギヤ部分は取り外し可能で、はずすと美麗な顔が現われる。

髪は金髪でやや長め、グリーンの瞳は細かい所まで作り込まれており眼球も動くようになっている。

まつげも長く、これがメカノイドを基準に作られているとは思えない、まあ皮膚は新開発のクッション繊維で作られているので人とほぼ同じ弾力があり触った感じも変わらない。

アニメの中ではちゃんと学校に通っており、そのときは制服を着用しているが実はホログラムで制服を着ているように見せているだけと言う設定。

高校2年生17歳と言うほぼ自分と同じ年齢なのだが、体つきはまるっきり違うので、もしこんな女の子が居たら現実では絶対モデルか芸能人になっているはずだ。

身長50センチと言う縮小フィギュアが、ロボ化のスキルを使えば動きそして話すのだ。

そっち系のオタクならば涙を流して喜ぶだろう。

但しそれを見せるのは自分だけにしておかなければ、とんでもない事になると言わざるをえない。


よくアニメなどでは平気で歩き回ったりしているフィギュアが出ることも有るが現実世界であればすぐに問題になるだろう。

まあ今後どうなるのかは分からないが、一応は隠すという方向性で進もうと俺は考えている。

今のところはこんなところだ。

そして学校から届いたクラスメイトの寄せ書きを手に、俺はベッドに寝転がると寄せ書きの名前をみて学友の顔を思い出している。

すると目の前にモニターが表示され顔のアップそしてその横に360度全身が制服姿で表示された。

さらに身体能力も細かく数値化され顔のアップの下に表示されていく。


「マジ」


足立 貴美子

17歳

誕生日 令和15年7月6日

身長 162センチ

体重 51k

B83W55H80

偏差値62

クラス委員長

視覚 0.5 やや近視 眼鏡使用

髪は黒でロング、よく三つ編みをしておりダサく見られがちだが、顔は結構きれい目。

責任感がありリーダーシップを取ろうとするが、結構抜けている。

現在はアイドルに少しはまっており、好きなグループがいる。

得意な科目は国語と古文、そして英語

クラスの男子で気になって入る人が居る、2名それはイケメンだから。

など…

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