第5話 もう一つの使い方
もう一つの使い方
自分の部屋に入るとそこにはクラスメイトからの退院おめでとう、と言う色紙が数枚と手紙も添えられていた。
オタクな俺にこの配慮は少し泣けてくる、まあ日陰者ではあるが外見はさほど悪いわけではなく身長も1メートル75センチ中肉中背やや細身と言うボディ。
着る物と髪型さえ変えればもてる男に変身することも可能なのではと自分は考えている。
まあそれにはファッションセンスも磨かなければどうにもならないのだが。
「ん~戻ってきた~」
「そうちゃん何か食べる?」
「あ~今はいらないよ」
「判った~」
しばし自室にこもり見慣れたはずの部屋を眺めてみた、するとベッドの上にそれはあった。
買い物袋大の大きさにショップのロゴ、そしてその中には予約しておいたクローム・リリー。
袋を手にし中のBOXを取り出すと、ズシリと感じる重量感、俺の体はロボ化しているためさほど感じないはずなのだが、このフィギュアは完全ジョイントタイプの関節を持ちソフトビニールで覆われているデラックスバージョン。
なんと身長は50センチもある、完全リアルバージョン。
そして限定1000台という、現在すでにプレミアがついていて俺が購入した価格は5万円のところネットでの販売価格は倍以上という。
「宗助様、まるで私の外見とそっくりですね」
「おお!びっくりした~リリーどうした?」
「いえ私の姿にそっくりだと」
「ああそうだよこのフィギュアを買うために秋葉に行ってケガしたんだから」
「そうだったんですね」
俺の部屋にはほかにもフィギュアを飾ってあるその数10体、ファイティングリリーというアニメの主人公であるリリーは全部で7体。
ほかのリリーはすでにコンプリート済みだがそれらはサイズダウンの身長20センチという大きさ。
つまり7体の20センチものはコンプ済みで、他の3体がオーバーサイズの30センチ物、着ている服がオリジナルバージョンというやつ。
これらも限定品で手に入れられたのは3体のみ、そこに50センチというオリジナルのリリーであるクロームが手に入ったという形だ。
中でもクロームは全身が白と黒でところどころ鏡のようなクロームで覆われていてそのプロポーションも素晴らしい。
一応ロボットというか人造人間という設定のため、彼女らは国際的な犯罪組織と戦う秘密結社に作られたという設定なのだが、それぞれに悲しい過去を持つ。
まあ日本のアニメや戦隊ものにはありがちなストーリーだが、俺はストーリーよりもその姿に惚れてしまった。
まあアテレコの声優さんの見事なセリフにも感銘するところはあったが、その中でもこのクロームリリーは別格、別に彼女がリーダーというわけではない。
彼女のバックグラウンドは、普通の子であり頑張り屋さん、それなのに悪人たちの罠にはまり家族全員を失ってしまうのだ。
一人残された彼女はそれでも強く生きようと、平静を装い生きようとするのだが。
あるとき父親の残した書類の中から、自分以外の家族全員が殺された理由を知ってしまう。
そして彼女は真相を暴こうと必死に調べだしたのだが…
そこからはよくある話だ、邪魔になった暗黒マーズと言う組織の罠にはまりその命を失ってしまう。
そんな時すでにリリーとして活動していたアーバンリリー、シアンリリー、ゴールドリリー達が彼女の遺体を発見し持ち帰る。
心臓を突き破られすでに死んでいたはずのクロムリリーだったが脳波だけはまだかすかに残っていた。
そこでマッドサイエンティストである円道剣(まどかどうけん)教授が彼女の脳から4番目に開発したクロームリリーに移植する、移植といっても大昔の戦隊物のように生体ではなく脳内のデータのみを移植するのだが。
新しい体を与えられたクロームは博士と仲間たちを得て、悪の組織に立ち向かっていく。
ちなみに彼女が人だった時の名前は、東光理(あずまひかり)。
身長は170センチB85W59H88というナイスバディ、そしてやや茶色く長い髪。
確か設定はクゥオーターだったかな、肌は白く目もやや茶色で、美人なのに人懐っこい笑顔が魅力的だったが、クロームリリーになって冷静沈着な暗めのキャラに変わってしまう。
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