第2話 生れ変わった?
生れ変わった?
『バイタルが低下しています』
『スキルを発動します』
『固有スキル発動』
『ロボ発進』
『心臓がロボ化します』
『神経、血管がロボ化します』
『脳の機能が低下したため脳をロボ化します』
『筋力低下、全身の筋肉をロボ化します』
「呂方さん 呂方宗助さん」
「はい…ここは?」
「ここはあなたの頭の中です」
「あなたは?」
「ナビゲータのナビと申します」
「はあ?…」
「それでここは?」
「ですからあなたの頭の中ですって」
「それよりきみだれ?」
「私はナビです」
「まるでリリーじゃないか」
「だってあなたの記憶から導き出した立体映像ですから」
よく見ると彼女はフィギュアの戦隊物と同じ服を着てはいるが顔があいまいで目や口は無い状態、いわゆるのっぺらぼう、だが体のラインはかなりエロイ。
俺の記憶からなので一つだけではなくいくつかの情報をつなぎ合わせて作成されているようだ。
「僕の記憶?」
「そうですよあなたの記憶の中から一番好ましい人型のナビゲーション役を合成しました」
「それでか、まるで美少女戦隊のキャラだ、それで何なの?」
「それはこちらの言葉です、どうなさりたいかはあなた次第です」
「そういわれても…」
「ちなみに現在あなたの体は病院のベッドの上です、いわゆる意識不明というやつですね」
「え~~うそっ!」
「嘘も何も本当のことです」
「だってここには何もないじゃないか!」
「ここはあなたの記憶の中、そして私は脳みそのデータを利用した映像にしかすぎません」
「それで俺はベッドに寝てて意識不明、それは分かったがどうしてこんなことに?」
「事故です、秋葉原の駅からエスカレーターで降りるときに事故で下敷きになり、病院に搬送され意識不明の重体、内臓破裂・血管損傷・神経損傷・心肺停止などなど」
「マジ死んでいるのと同じじゃん」
「はい一度死んでいますね」
「じゃなんで?」
「え~とですね宗助さんはスキルを手に入れたみたいですね」
「スキル?」
「はいそのおかげで生き返ったようです」
「そのスキルって?」
「ロボというスキルです」
「ロボ?」
「なんじゃそりゃ?」
「神経血管心臓内臓すべてロボ化したみたいですね」
そういわれて自分の体を見回すが、ロボットになっているわけではなく今は頭の中の映像が見えているのでわかるはずもなく。
「宗助さん今は映像ですよ」
「外から自分を見ることはできますか?」
「ではモニターを作成してみましょう、強く望んでくださいTVモニターが欲しいと」
『内部モニターと外部カメラがリンクされました』
『映像信号をキャッチしました、音声入りで映像を表示します』
「ピッピッピッ」
そこには病室とみられる白い壁、そこかしこに並ぶ医療機器、点滴からは透明な液体が規則正しく流れている。
そして頭に包帯を巻かれ口には酸素供給器をつけられた俺自身の姿が。
「マジッ!」
「ご愁傷さまです」
「でも死んでないんでしょ」
「ああそうでした、死んでいません」
「じゃあ目を覚まさなきゃ」
「え~とその前にレクチャーしておかないといけないことがございます」
「え、何か問題があるの?」
「はいちゃんと聞いておかないと大変なことになります」
「じゃあ早く教えてよ」
「では細かく説明いたします、今生きているのは全身の6割をロボ化したことにより基本的にはパワーアップしたということになりますが、別段ロボ化=機械というわけではございません、ロボ化はいわゆる生体をロボットのような頑丈で壊れにくい状況にしたという意味です。そしてここからが問題です、宗助さんにはスキルロボ化が与えられたため強く念じることにより自分以外にもロボ化を使うことができます。ただしそうすることにより良い点と悪い点が生じてきます、ロボ化した後でも外見はそのままですが力はロボットと同じ強さになるため通常の生活において少しの力で簡単に物質の形を破壊する事ができてしまいます、要するに最初のうちは力をセーブするための訓練が必要になるという事です、さらに先ほども念じていただきましたが脳内にロボ化に対応するための様々な改造を行いました、外部カメラや別な場所をモニターで見るというあんなことやこんなことにも対応できるようになりました、ちなみに実行すると犯罪になりますのでお勧めはしません」
「要するに注意しないと壊しまくるってことね」
「そういう事です」
「わかったよそれでどうやったら目覚めるの?」
「起動と叫んでください」
(そこもロボなんだ…)
「起動!」
その後は特段ウイーンとかいう擬音は出ることはなかったが俺は無事に目を覚ました。
「ナビさん、この状態は?」
「はいすでにロボ化により動くことも可能ですが、先程説明したようにゆっくり動くことをお勧めします」
「要するに、すぐに起きたりどこかを強く押したりするなと?」
「はいまずは手元にあるスイッチで看護師を呼んでみましょう」
(ビーー)
言われた通りゆっくりスイッチを押し込むそして音が鳴ったところでキープ、どうやら壊さずにスイッチを押せたようだ。
「タタタタ」
「せ 先生を呼んで!」
それからは大変だった、要するに起きることのない、ほぼ死んだと思われていた患者が生き返ったからだ。
担当の医者が言うには奇跡だと、まあ俺もそう思う。
体の損傷具合や各器官の傷み具合からして、今まで生きていたことでさえ奇跡だというのだから。
先日までは脳波も途切れ途切れだったという、だが今は痛いところなどどこにもない、足も腕も動く・いや動くどころかパワー漲(みな)ぎってるのだから、この後母や父そして妹が病室に来てかなり好き勝手なことを話していった。
やれあんなところにいくからだとか、趣味が悪かったのだとか。
だがそれでも家族を悲しませたのだということは、俺の心に突き刺さっていた。
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