第2話 近未来の車
「思ったより涼しくない。これじゃあ東京と同じじゃん!」
新千歳空港に降り立った人が、最近よく言うようになった苦情だ。
まだ東京ほどではないし私に苦情を言われても困るのだが、私もほぼ同感だ。
二十数年前と比べても札幌は明らかに暑くなった。いや、以前も気温が上がることはあったが、湿度が低かった。
どんなに陽射しが強くても、日影に入ればすうっと涼しくなるのを感じたものだ。
ところがいまはそれがない。蒸し暑いのだ。昨夏、とうとう我が家でもエアコンを導入した。
冬は大量の灯油に車のスタッドレスタイヤ、そして冬用の靴。お金がかかる。
夏は冷房要らずのハズだったのにこれじゃあ話が違うじゃないか、と怒りたくなるのはこっちの方だ。
やはり地球温暖化のせいなのだろう。ゲリラ豪雨もあるし雪が一度に大量に降ることも多くなった。自分で出来ることを着実に実行しなければと改めて思う(エアコンつけちゃったけど。)
そこで自動車の話。
地方都市では自動車はほぼ必需品と言ってもいいだろうと思う。その必需品に大きな革新の波が押し寄せている。自動車のエコ化である。欧米でも日本でも2030~2035年にはガソリン・ディーゼル車の製造を止めるらしい。
そう、自動車はエンジンで走る時代からモーターで走る時代へと変わろうとしているのです! もう暴走族の爆音を聞かなくて済むようになるし、逆にF1などモータースポーツのエキゾーストノートは聞けなくなります。
世はこぞってエコカー時代に突入するのです!
エコカーとはなんぞや。おさらいしておきましょう。(なぜか筆致が丁寧語に変わってますが、面倒くさいのでこのまま続けます。)
エコカーには大きく分けて四種類あります(乃々沢調べ)。
①HV(Hybrid Vehicle):ハイブリッド。ガソリン+電気。
②PHV(Plug-In Hybrid Vehicle):プラグインハイブリッド。ガソリン+電気。
③EV(Electric Vehicle):電気自動車。電気。
④FCV(Fuel Cell Vehicle):燃料電池車。水素+空気。
①のHV車はもはやお馴染みですね。ガソリンと電気で走りますが、主体はガソリンです。電気は補助的な役割ですが、それでもガソリン車に比べれば燃費が良くエコです。電気は走行動作で発電するので充電は不要(できない)です。
②のPHV車はHV車に充電ができるようにした車です。バッテリー充電残量があれば電気で走り、なくなればガソリンで走ります。HV車よりガソリン代がかかりません。
③のEV車は電気だけで走ります。自宅や充電スタンドで充電が必要になります。走行中に二酸化炭素を排出しないので HVやPHVよりエコですし、夜間電力などを活用すればランニングコストはガソリン車より低減できそうです。
ただ、バッテリーが切れれば当然ですが走れません。連続走行距離はガソリン車より短いですし、充電スタンドの設置環境もまだ十分とは言えないので不安な部分はありますね。充電時間も長いですし。
④のFCV車は水素と酸素の化学反応から電気を作り、モーターを動かして走ります。二酸化炭素を排出しないので HVやPHVより、またEV車よりもエコです。EV車は電力会社が発電した電気を充電しますから、電気を発電する際には二酸化炭素が排出されています。前述で走行中に二酸化炭素を排出しない、と書いたのはそのためです。
個人的にはこのFCV車が普及して欲しいと思うのですが、なにしろまだエグイくらいに高価です。ガソリン車の二、三倍は高い。まだ開発途上にある車なのかもしれません。水素ステーションの設置もまだまだ整備が必要でしょうし。
エコは金がかかる。率直な感想です。環境を守るのにお金がとか言ってはいけないのでしょうが、この先、収入が減っていく世代にとってはお金も大事です。
と、いうわけで、現段階ではどれも帯に短し襷に長し(ちょっと違うか?)で選べませんです。
どのような自動車を普及させるのか。環境に大きく影響するので、もはやこれは自動車産業界だけではなく、国家のプロジェクトといえるでしょう。
十年後にどうなっているのか、見極めたいと思います。たぶんウチが車を替えるのもその頃になりますから。
生涯で最後に乗る車は、どんな車になっているのかな。楽しみでもあり心配でもあります。
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