第4話

トラブル対策には慣れている。

僕は、帰宅して部屋に篭もると、パソコンを立ち上げた。

そこに表示されたのは、匿名掲示板だ。

あの、捜査局の悪魔、先代の世界管理者――イルリス・ジルフィードが悪ふざけで作った場所である。


僕は、スレ立てをした。

アイツを頼るためだ。

このループに何故か巻き込まれてしまった、よくわからないアイツ。

【スレ民】【考察厨】【特定班】【スネーク】【底辺冒険者】等など、実にさまざまな名を使って、スレに居座っているアイツ。


「ほんとは、頼りたくないんだけど」


アイツは頭がイカレている。

僕や、アキラや、エドよりもイカれている。

狂っている。

アキラがそうであるように。

そしてエドがそうであるように。

……認めたくはないけれど、僕がそうであるように。


いや、それ以上にアイツは頭がおかしい。


まさに狂っているのだ。


そして、それを自覚している。

自覚しているからこそ、タチが悪い。



■■■


【これ】今すぐ来い【見てたら】


■■■


訳の分からないスレタイだ。

でも、アイツは必ず来る。

普通の【スレ民】ならまず見ることもないだろう。

だからこその目印だ。

このスレを立てたのが僕だと、すぐわかるからだ。


1スレッド目に、僕は書き込みをおこなう。


■■■


1:ニセモノ魔族

見たら、さっさと書き込め



■■■


一分、二分と過ぎていく。

そして、アイツが書き込んだ


■■■


2:名無しの実況者

今だ!2ゲットォォォォ!!

 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ∩ ∩

   ~| ∪ |         (´´

   ヘノ  ノ       (´⌒(´

  ((つ ノ⊃≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡

   ̄ ̄ ̄(´⌒(´⌒;;



     ∧∧          (´;;

    (゜Д゜ ,)⌒ヽ    (´⌒(´

     U‐U^(,,⊃'~... (´⌒(´⌒;;



  ポ  ∧∧  ポ

  ン  (゜Д゜ ,) . ン

   (´;) U,U )~ (;;).

(´)~(⌒;;UU (´ )...~⌒(`)


3:名無しの実況者

>>1

よぉ、この世界でもよろしくな

相棒♡


4:ニセモノ魔族

>>3

相棒呼びするな


5:名無しの実況者

つれないねぇ、お前と俺の仲じゃないか


6:ニセモノ魔族

>>5

勝手に親しげな仲にするな


7:名無しの実況者

だってこれ浮気だろ?

いや、不倫か??

お前が愛してやまない、稲村アキラはなにも知らないんだ

そのアキラ君に内緒の逢瀬、密会じゃないか

もっとイチャイチャしようぜ♡


8:ニセモノ魔族

>>7

>もっとイチャイチャしようぜ♡


その言い方やめろ


9:名無しの実況者

相変わらずのカタブツだなぁ

もっと笑っていこうぜ

笑う門には福来るって言うんだぞ

知らんのけ??

どんなことも面白がらなきゃ

ところで、こうして掲示板を立てて

んで、俺がこうして書き込んでるってことは

また繰り返したってことだよな?

またダメだったのか

救えなかったのか

で、俺にナニをしてほしいんだ?

お坊ちゃん??


10:ニセモノ魔族

>>9

>お坊ちゃん

その言い方もやめろ

殺すぞ


11:名無しの実況者

おうおう、やれるもんならやってみなwww


■■■


からかわれていた。

その事に無性に腹が立った。

こいつはいつだってこうなのだ。


■■■


12:名無しの実況者

どうせお前には殺せやしないんだ

お前は、どうしようもない甘ちゃんで、臆病者だから


13:ニセモノ魔族

うっさいな


14:名無しの実況者

あれ?

でも、ちょっと待て

カレンダー確認したけど、ループしてるのは別にいいけど

お前、頼ってくるの早くね?

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