第55話:聞きたくない事実


「”また”って・・・」

あやかちゃんが、自分を見つめて言う



「うん、”また”だよ・・・」

聞きたくない言葉を確かめるように言う・・・




「やっぱり、言わない方が良かったでしょ?

コウちゃん、”知らないほうが良い”

って前に言ってたから、言いたくなかったのに・・・」

















「・・・」


この会話をする前に戻れたら・・・。

なんて、無理なことを今更、考えてしまう・・・


だけど、何とか”逆転”をしようと、

”反撃”に出ようとする自分・・・












「え~、何?じゃあ、飲み会で一目惚れって事?」

まずは、状況確認・・・



「・・・うん。最初は、全然だったけど、

途中から”いいな”って思い出して・・・」




「え?でも、どんな状況?」

”いいな”って言葉で、ダメージを食らう・・・

そして、意味がわかりづらい事を聞いてしまう自分



「どんな状況って?」

当然、”?”のあやかちゃん。



「そっか・・・。

   ”盛り上がってた”ってのは、そお言う事か・・・」

嫌な言い方・・・



「え?う~ん・・・」

その言葉を聞いて、困るあやかちゃん



「だから、カラオケに行ったんだね~

   そかそか・・・」

どんどん、嫌な言い方になる自分


頭の中では勝手な妄想が始まる・・・


”カラオケでぴったりくっついた二人・・・

頭を撫でられる、あやかちゃん・・・”

って感じの妄想・・・

痛い・・・




「・・・コウちゃんを帰しちゃった事は反省してるよ・・・」



「次は、いつ会うの?明日?」

ちょっと平気そうに聞く自分



「まだ、次に会う約束はしてないよ・・・」



「ふーん、どんな人?」

どんどん聞く自分。



「え?どんな人って?」



「例えばイケメンとか・・・?」



「うん、顔は可愛い感じで、年下なの・・・」



「何コ?」

可愛い感じ・・・


「二つくらいかな・・・?」



「へ~」



「でも、カラオケ終わった後は送ってもらったりしたの?

  結構、中途半端な時間に終わったでしょ?」



「朝まで居たから・・・」

朝まで・・・


「そうなんだ。え~?

   眠くならなかった?」




「眠くなったよ・・・」



「向こうは・・・?」

何を聞いてるんだ?自分は・・・













「・・・コウちゃん・・・」





「ん?」




「飲み会って言うのは嘘なの・・・」




「え?」

嘘??









「二人で会ってたの・・・」











「・・・二人で・・・??」


更に”キツイ事実”に気がつくまで

少し、時間のかかる自分












「第56話:彼のことばかり」

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