第53話:記憶のカケラ



・・・・この物語りも終盤に近づいている














この物語を書きながら目を閉じれば、

あの頃の君に会えた




確かにそこには君が居た




僕の近くに・・・



目の前に・・・





























記憶を辿り、君のカケラを集めたよ・・・


君と離れた年の12月からこの物語を

書きはじめて・・・



季節も移ろい桜も散って、

もうすっかりあたたかい春になった













もう、君にどれほどの”僕”が残っているのか分からないけど・・・








それでも・・・







いつも、毎日、いつだって

どんな場所でも・・・

君を探してたんだ・・・




君を失った、あの日から・・・








勇気を出して、君に連絡をしようと

何度も何度も何度も挫折して







君がいっぱいで苦しい・・・





こんな、情けない自分





勇気の無い、自分





押しつぶされている、自分




立場をわきまえていないのはわかってる・・・





・・・なんてタイミングなんだ




だったら何でこのタイミングで二人を出会わせたの?



タイミングさえ合っていたら

こんな思いはしなくてすんだかもしれない


二人はもっとうまくいっていたかもしれない




幸せに出来たかもしれない・・・

いや、絶対に幸せにしてみせたよ・・・

絶対に・・・





冗談が過ぎるよ・・・本当に




なんてめちゃくちゃな恨み節を言っても・・・









だから、いっそぶつけたんだ







君への想いを、この物語に・・・








だけど、この物語を終えてしまうと・・・






どこに、ぶつければいいのか

分からなくなる・・・





もう、あの頃の君に会えなくなる





あの頃の二人に、会えなくなる・・・







この物語の終わりは、どうなるのか・・・




僕も知らない・・・












君が、心から大好きで大好きで

しかたがない






                

もう一度、君に会いたい・・・











「第54話:知らない方が良い」

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