第52話:ココロの声



あのあと自分からは電話はしなかった・・・


メールも・・・


そして、あやかちゃんからも同じく連絡が無いまま、3日ほど経った火曜日







・・・あ~、何でだろ・・・

意地を張って”折れ”れない・・・







仕事中もしょっちゅう携帯電話を見る


”着信”も


”新着”も


無い・・・







この場合は、あやかちゃんから連絡欲しいよ・・・



どう思ってるんだろ・・・



気にしてないのかな・・・あやかちゃん?



でも、別に、いいじゃん・・・



気にするなよ・・・



自分が気にしすぎ?!



こっちからかければ・・・?



盛り上がってたんだからしょうがないじゃん・・・?



何、意地張ってるの?



俺のバーカ・・・



そんな事ばかり、頭の中で巡っている・・・




この日も寝る前に携帯電話を見る



やはり、


”着信”も


”新着”も


無い・・・























お、っと携帯・・・



4日目、水曜日の朝



「じゃあ、行ってきます」




「うん、いってらっしゃい」




「パパ、いってらっしゃい~♪」



「うん、行ってくるね~♪」



妻子に見送られ、出勤する



歩きながら何となく、携帯を見る




0:36

着信あり。



0:46

着信あり。



あやかちゃんから2回の着信



「あやかちゃん・・・」

少し、安心する自分

(2回も電話くれたことに涙目になるよ)



その日は”着信あり”の嬉しさで、

曇っていた気持ちが晴れていく・・・



仕事が終わり、夜の10時半頃に

あやかちゃんに電話をする





出ない・・





ま、でも着信あったし・・・





5日目、木曜日の朝


ディスプレイには”0:23 着信あり”の表示


あやかちゃんからだ・・・



そっか、後に電話くれたんだ・・・。


そう言えば最近、あやかちゃん会えてないな・・・


夏は、会ってない日の方が少なかったのに・・・。


何て、一人で勝手に切なくなる・・・











その日の、夕方


「えぇ、はい。

  わかりました」




ブルブルブル

ブルブルブル・・・



「えぇ、はい。」



ディスプレイに”下平デザイン”の表示



ブルブルブル

ブルブルブル

ブルブルブル


「はい、ありがとうございます。失礼致します」





って、あやかちゃん


急いで、会社の外に出る自分





「もしもし・・・。」



「あ、コウちゃん?」



「あやかちゃん、久しぶり・・・。」



「うん、久しぶり・・・。」



「ごめんね。電話、すれ違っちゃったね・・・。」



「どうしてた?コウちゃん・・・?」



「どうって?」



「怒ってた・・・?」



「え、何で・・・?」



「土曜日、せっかく迎えに来てくれたのに、帰しちゃったから・・・」



「や、気にしてないよ・・・?」

気にしまくってました・・・



「ホントに?私が迎えに来てって言ったのに、帰すなんてひどいよね・・・」



「全然大丈夫だよ

   しょうがないよ、

      ”盛り上がって”たら中々一人で抜けられないよ」



「・・・うん、本当にごめんね」



「いいよ、いいよ。気にしないで」



「うん・・・」



「あ、そうだ。明日とかも金曜日だから飲みに行かないの?」



「明日は、りかちゃんと飲みに行くよ」



「じゃあ、迎えにいこっか?」



「え、いいの?」



「うん、むしろ迎えに行きたいけど?」



「・・・うん、じゃあ、お願い」




「了解です♪じゃ、明日」



「うん。りかちゃんも一緒にいい?」



「おぉ、もちろん」



「ありがと、じゃあ1時位に・・・」














「第53話:記憶のカケラ」


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