第49話:8月のワンピース
「じゃあ、明日友達の結婚式の二次会だから迎えに来てね♪」
8月の末近くの土曜日
前日、あやかちゃんにそう言われたので
車で結婚式の二次会会場近くに向かう自分
少し遅れ気味だったので、あやかちゃんから電話が鳴る
「コウちゃん今、どこに居るの?」
「あ、ごめんね。あと5分で着くよ」
しばらく軽い渋滞が続き、それを抜け
結婚式の二次会会場近くに車をとめ
外に出る
待ち合わせ場所に、小走りで行く
週末の街中なので、人も多い
キョロキョロとあやかちゃんを探す
するとまた、あやかちゃんから電話が鳴る
「コウちゃん、もう着いた?」
「うん、着いてるけどあやかちゃんが見当たらないよ?」
そう言うと、待ち合わせ場所近くの建物から
携帯を耳に当てた、あやかちゃんが出てきた
この前、自分がプレゼントしたワンピースを着ていた
スレンダーな身体に似合っていて、
とても大人の雰囲気だった
「お、あやかちゃん大人っぽい。似合うね~♪」
「ホントに?普段着ていく場所が無くて、やっと着れたよ♪」
笑顔でそう答える、あやかちゃん
「うんうん、めちゃ似合う。ちょっとドキドキするもん」
「じゃあ、いつもはドキドキしないんだぁ」
「そんなこと無いよ~。
あ、車あっちにとめたから」
(いつも、ときめきが止まらないよ)
土曜日の夜、混んだ街の歩道を歩く2人
車をとめた場所に着くと自分の携帯が鳴る
ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル
”奥様”からだ・・・
何故か焦る自分
更に、焦って電話を取ってしまう自分
「あ、もしもし?」
っと言いつつ、ジェスチャーであやかちゃんにあやまり、電話をしながら、あやかちゃんから離れる
「どこに居るの?」
「ちょっと休憩でコンビニに行く途中だよ」
「ふーん、本当は仕事なんかしてないんでしょ?」
ドッキっとする自分
「や、何言ってんの。今日、大変なんだから・・・」
「あっそ。ねえあのさ・・・」
しばらく、奥さんの会話が続く・・・
・・・
相変わらず長い・・・
長い・・・
長いからやばい・・・
あやかちゃんの事がめちゃくちゃ気になる・・・
切り上げようとしても終わってくれない・・・
長いって・・・
「ちょ、ごめん!本当に長いから。もう会社に戻るよ!」
「じゃあ、今日、何時に帰ってくるの?」
「・・・」
あやしまれるのが怖くて結局、
20分近く電話を切れない自分・・・
走って車まで戻る
あやかちゃんが車の横のポール台に座っていた・・・
「あやかちゃんごめんっ!」
すごく引きつった顔で謝る自分
「もう!コウちゃんひどいっ!私の立場、無いじゃんっ!」
うわ、めちゃ怒ってる・・・
普段、怒らない子を怒らすと、ショックが大きい・・・あやかちゃんだからさらに特別に焦る・・・
「ごめんっ。電話が切れなくて・・・」
めちゃ、自分の顔がこわばってる・・・
「せめて車の鍵くらい、開けてよっ!」
超、怒ってる・・・
車を走らせる自分
助手席側の窓を見たまま、何も言わないあやかちゃん・・・
運転しながら、どうしようか考える自分
奥様を怒らせても、いつもの事だが、
あやかちゃんを怒らせて、頭の中でオロオロする・・・
「・・・あの、あやかちゃん・・・
本当にごめんね・・・
どうしても、電話に出ないといけなくて・・・」
理由が奥様の電話なので言い訳もできない自分
でも、出ないと、会社にかけてくる危険な奥様・・・
「もう、いいよっ。理由はわかってるから」
窓を見ながら言うあやかちゃん
「本当にごめん。いきなり会ったばっかで
怒らせるようなことして・・・」
「もう、怒ってないからいいよ・・・」
少しうつむき気味に言うあやかちゃん
「う~ん・・・。
わかった・・・。お茶でもしよっか?」
「うん・・・」
スタバに着いた自分は、めちゃあやかちゃんに気を使う
「僕が注文してくるから、あやかちゃんは座ってて。何にする?スコーンとかも食べる?」
何とか、本当に機嫌を直してくれる、あやかちゃん
しばらくゆっくりして、スタバから出る二人
車に乗った後
・・・怒らせたので、言いづらかったが
昨日の”約束のこと”を切り出す自分・・・
「あやかちゃん・・・。昨日の約束覚えてる・・・?」
「覚えてるけど・・・
え~?」
実は昨日も、あやかちゃんに会っていたのだが、その時に”おあずけ”をあやかちゃんから食らっていた
なので、今日なら”良い”ってことで約束していた・・・
「怒らせたから言いづらかったんだけど・・・。行こうよ?」
ちゃっかり”しよう”とする自分
「昨日は、良いって言ったけど・・・。
今は、そんな気分じゃ無いもん・・・」
確かに、昨日は車の中で盛り上がった・・・
二人とも・・・
あやかちゃんも少しエッ・・だったし・・・
「わかった!今日は何もしないっ!
あの~、くつろぎに行くだけだからっ!」
むちゃくちゃ言う自分
「何か、この前も同じようなこと言ってなかった?」
っと言うやり取りが続いたが、
結局・・・
ワンピースを脱がす自分・・・
綺麗な身体のあやかちゃん・・・
抱きしめる度に、この時間を凍らせてしまいたいと思う・・・
本当に、いつも君に会っていた夏。
会いたい時に君に会えた夏。
二人の距離が近い夏。
「第50話:夏の香」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます