第46話:隠し事
「ねえ、今日は夕方までだけど、いい?」
と言うあやかちゃん
なので、郊外の大型ショッピングモールで
ランチを食べることにした8月も初めの土曜日
「何食べよっか」
の自分の言葉にあやかちゃんは、瞬時に
「しょうろんぽうが食べたい♪」
と言う
花火大会以来、更に会う回数が増えた二人
隙間を見つけては、会っていた
昼時を微妙に外していることもあり、店内はすいている
しょうろんぽうも美味しい
二人で仲良くランチをして
少しブラインドショッピングをしていたら、
あっと言う間に夕方の4時をまわっていた
「あやかちゃん、そろそろ帰らないといけないね」
時間が気になる自分
「そうだね。そろそろ戻ろっか」
とあやかちゃんが振り返る
車に乗る前に、生果物ジュースを買う
夏なので喉も乾いていたため、車に戻るまでに飲み干す
急ごうと車を出したが、ショッピングモールの駐車場から出ようとする時点でかなり込んでいた
「あれ、結構込んでるね~
ショッピングモールの周りの道路って狭いよね。時間大丈夫?」
「うん、まだ大丈夫だよ」
しばらく、車の列に並ぶ二人
・・・。
予想以上に長い渋滞。
「さっき買った、お菓子食べてもいい?」
と、店内で買った駄菓子を食べるあやかちゃん
「結構、混んでるね~」
「はい、コウちゃん♪」
と、お菓子を口に入れてくれるあやかちゃん
もぐもぐする自分
何だかんだで、20分近く経つ・・・
「コウちゃん、喉が渇いたよぉ・・・。」
とお菓子を食べて喉が乾いたあやかちゃん
「うん、僕も乾いた・・・。ちょっとコンビによって行こうっか?」
しばらくして、ようやく渋滞も終わり、コンビニでジュースを買う
「ところで、今日って何かあるの?」
と、ジュースを飲みながら何となくあやかちゃんに聞く
「うん、お父さんが久しぶりに家族で食事するって言うからだよ」
ジュースを飲みながらあやかちゃんが言う
「あ~そっか、じゃあ、早く行かないとね」
あやかちゃんのお父上が、家族サービスをしようとしているなら急がねば!っと思う自分
「うん・・・」
しばらく、車を走らせていると
あやかちゃんの携帯が鳴る
「もしもし・・・」
電話を取るあやかちゃん
運転をしている自分・・・
「・・・うん、じゃあね」
と、電話を切るあやかちゃん
「あ、妹さんか誰か?遅いって?」
と何となく聞く自分
「あ、うん。
あ、そうだ、コウちゃん、向う先、私の家じゃなくて駅で降ろしてもらっていい?」
「うんん、良いよ。時間は大丈夫なの?」
時間が気になる自分
「うん、まだ大丈夫だけど・・・。」
としばらく走る車
「へ~、お父さんって優しいね。たまにするの?食事会?」
「うん、たまにね・・・」
「さっきは妹さん?妹さんは現地集合?」
「うん、妹は現地集合するって・・・」
っと、またあやかちゃんの携帯が鳴る。
「電話とってもいい?」
と聞くあやかちゃん
「え?全然良いよ」
と、言う自分
「・・・うん、わかった。じゃあソコでね。」
と電話を切るあやかちゃん
「あ、やばい?もうみんな着いちゃってるって?」
と普通に心配する自分
「うんん、まだ大丈夫だよ・・・」
「そう。急ぐね」
と、普通に急がねばと思う自分
「・・・・。」
「・・・コウちゃん、今日実は、飲み会なの・・・」
と、急に言い出すあやかちゃん
「あ~お父さん達とでしょ・・・?」
「うんん、違うよ・・・」
「・・・・ん?」
「りかちゃん達とだよ・・・」
「え?あ、そうなんだ・・・
え?コンパってこと?」
と急に気付く自分。
「・・・・うん」
「え~マジで~。せっかく急いでたのに」
状況を飲み込むので精一杯
「でも、気がついてたでしょ?私が怪しいって・・・」
「え、全然気がついてないよ。本当にお父さんの食事会だと思ってた」
本当に気付いてない自分
「そうなんだ。だってコウちゃん、色々聞くから気がついてると思っちゃった」
「気付いてないよ。嫌だな、今日がコンパって知るの・・・」
単純にコンパに行くなって言えない自分・・・
「行って欲しくないの・・・?」
「そりゃ、行って欲しくないよ。あたりまえじゃん!」
「でも、私、コウちゃんの彼女じゃないし・・・」
「じゃー、付き合おうよ」
「じゃあ、奥さんと離婚するの?」
「や、う~ん」
運転しながら、胃が痛くなってくる・・・
「じゃあ、コンパには行くよ」
なんか開き直ってくる、あやかちゃん。
「でも、じゃあ言わないでよ。せめて知らない方が良いんだけど」
本当は、絶対に行って欲しくないが、強く言い切れない自分が情けない。
「だって気がついてると思ったんだもん。私、隠し事するのが下手かも・・・」
「う~ん。あ、駅に着いちゃったよ・・・」
無意識に駅には向っていた自分
「あ、でも、まだ少しだけ時間はあるよ。」
と言うあやかちゃん。
「じゃあ、罰としてキスしよ!」
と、意味不明なことを言う自分
「え、外で?」
「や、車の中」
「でも、人が凄く通ってるよ?」
「全然関係無い!罰だから」
ムキになる自分
「じゃ、ココで」
と車をとめる自分
「え、人が居るよ?」
とあたりを気にするあやかちゃん
「関係無いって。罰だから」
何故か無駄に強引な自分。だいぶ妬いている
「え~」
と言うあやかちゃんを無理やり引っ張り
キスをする
「・・・コウちゃん長いよ・・・」
と、言うのでやめる自分
「ごめん。でも、やっぱりキツイよ・・・」
「行って欲しくないの・・・?」
「言って欲しくないけど、自分のことを棚に上げて言ったらいけない気もするから・・・」
「言うのは、良いよ。・・・・言って欲しい・・・」
「じゃあ、行かないでっ!」
必死な自分
「行くのやめよっかな・・・。」
と、あやかちゃんが言う
「え?行かないの?いい?」
お!っとなる自分
「う~ん、やっぱりそれはマズイかも・・・。りかちゃん達が困ると思う・・・」
りかちゃん達を気にするあやかちゃん
「いいじゃん。たまにすっぽかしても?」
いいじゃん、いいじゃん
「でも、大丈夫だよ!心配しないで。
私はコウちゃんのものだから♪」
と、笑顔で言うあやかちゃん
「嘘ばっかりっ!本当だったら良いけど・・・。」
冗談にしか聞こえないし、冗談だと思う自分。でも、嘘でも嬉しすぎる言葉
「あ、時間になっちゃった・・・。」
集合時間らしい・・・
「じゃあ、もう一回キスしよ!」
と、言う自分
「え・・・?
うん・・。いいよ」
とキスをする二人。
そして車を出ようとする、あやかちゃんに
「コンパが終わったら、絶対連絡して!それだけはお願い!」
と言う自分
「うん、大丈夫だよ。連絡するね♪」
と言うあやかちゃん。
あやかちゃんの後姿を見送る自分・・・。
帰りの車の中、何とも言えない気持ち。
胃が痛くなる。
変な想像もする
好きな人が、目の前で”コンパ”に行くのが
こんなに苦しいこととは知らなかった・・・。
「第47話:あまえんぼ」
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